建設業許可|取った後の手続き

知事許可から大臣許可への変更|建設業許可

知事許可と大臣許可の違いとは何でしょうか。

工事場所が全国に広がるとか、工事の請負金額を大きくできるということではないですよね。

どちらの許可でも全国で工事ができますし、請負金額に違いはありません。

 

では何が違うのでしょう。

この2つの許可は、拠点(営業所)を置くことができる場所に違いがあります。

知事許可では、同じ都道府県内にしか拠点(営業所)を置くことができません。

一方、大臣許可を取れば、他の都道府県、つまり、全国に拠点(営業所)を持つことができるようになります。

 

大臣許可を取れば、営業エリアをぐんと増やすことができます。

しかし、拠点(営業所)を維持するためには、一定数の技術者を抱えていなければなりません。

人材の確保に関してしっかりとした準備が欠かせないのです。

 

今回は、大臣許可について、そのメリットとデメリット、大臣許可取得の要件などについて確認します。

大臣許可について理解を深めていただき、ぜひ事業の拡大につなげてください。

 

建設業許可をしろいろ解説しています。こちらもどうぞ。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉経営業務の管理責任者の要件|建設業許可で最大のヤマ

👉建設業法の処分・罰則を理解する完全ガイド

👉般特新規申請をわかりやすく解説|建設業許可

 

大臣許可が必要となる場合

大臣許可は、2つ以上の都道府県にそれぞれ営業所が存在する場合に必要です。

それでは、「2つ以上の都道府県に存在」するとはどういうことか。

また、「営業所」とはそもそもどんなものなのか、を確認します。

 

2つ以上の都道府県に存在すること

1つの都道府県にのみ営業所を持つ場合は「知事許可」が必要です。

・本店、A支店、B支店・・・(岡山県)

 

このような場合です。仮に営業所が100か所あったとしても、同一県内であれば「知事許可」です。

 

一方「大臣許可」が必要となるのは、次のようなケースです。

・本店、A支店・・・(岡山県)

・B支店・・・(兵庫県)

知事許可と大臣許可の違いはこれだけです。

 

よく誤解されますが、知事許可と大臣許可とで工事の施工地域や請負金額に違いはありません。

見積りや契約を営業所で行うのであれば、全国どこででも工事を施工することができます。

※知事許可と大臣許可の違い

 

営業所とは

ここでいう営業所とは、建設業の営業を常時行う、本店・支店・営業所をいいます。

請負契約の見積り、入札、締結を実際に行う事務所です。

 

たとえ500万円未満の軽微な工事だけを受注する場合でも、営業所として登録が必要です。

※軽微な工事をこちらで解説しています。

👉軽微な工事とは(許可が不要な工事)|建設業許可

 

登記上の本店など、契約に関する業務を行わない場所は、営業所に該当しません。

ただし、他の営業所を指導監督し実質的な関与をするときは、営業所に該当することになります。

一方で、資材置き場・連絡所・作業所などは、営業所になりません。

 

大臣許可を取得するために必要なこと

大臣許可を取るには、次の3つの準備が必要です。

①営業所を設置すること

②令3条の使用人を配置すること

③営業所の専任技術者を配置すること

順番に確認します。

 

営業所を設置すること

次の要件を満たすことで、営業所として認められます。

ⅰ)看板、電話、机、パソコンや営業上の書類など事務所としての機能を持っていること

ⅱ)請負契約の締結に関する権限を持っていること

ⅲ)営業所の中に建設業の営業を行うスペースが確保されていること

※居住用部分や兼業事業を行うスペースと区分されているかどうか

ⅳ)営業用事務所として使用できる権原を持っていること

※自己所有であるか事務所として賃貸されていること

ⅴ)令3条の使用人を配置すること

ⅵ)営業所の専任技術者を配置すること

※ⅴ)とⅵ)は下で解説します。

 

令3条の使用人を配置すること

主たる営業所以外に営業所を設置するときは、令3条の使用人を置かなくてはなりません。

ちなみに主たる営業所には、経営業務の管理責任者が配置されます。

 

令3条の使用人に、特別な資格や経験を求められることはありません。

取締役などの役員でなくても構いません。

企業の代表権者から次の権限を委任されているかどうかです。

営業所での請負契約に関する見積・入札・契約締結などに関する権限です。

 

特別な資格や経験は要らないですが、次の3つの要件は外せません。

①1つの営業所に常勤していること

②建設工事の請負契約の締結やその履行についての権限を代表者から委任されていること

③欠格要件に該当しないこと

※欠格要件はこちらで確認。

👉欠格要件の完全ガイド|建設業の許可・取消では要注意

 

令3条の使用人となるのは、支社長・支店長・営業所長などの肩書を持つ、営業所の代表者の場合が一般的です。

しかし、これらの肩書を持っていれば令3条の使用人になれるわけではありません。

令3条の使用人として、建設業の許可申請で登録されていることが必要です。

※令3条の使用人はこちらを参考に。

👉令3条の使用人と経営業務の管理責任者|建設業許可

 

営業所の専任技術者を配置すること

許可業者には、営業所ごとに専任技術者を配置することが求められます。

専任技術者は、配置された営業所に常勤しなければなりません。

 

本店の専任技術者が、A営業所の専任技術者を兼任はできないということです。

ですから、大臣許可業者は、最低でも営業所と同じ数の専任技術者を必要とします。

※さらに現場に配置する主任技術者や監理技術者も必要です。

 

1人の専任技術者が複数の業種の資格を持っていれば、そのすべての業種で専任技術者になれます。

1人が持つ資格では一部の業種しかカバーできないときは、複数の専任技術者が必要です。

 

専任技術者の要件は、次の2つです。

①営業所に常勤していること

②受けようとする許可業種について資格や経験も持っていること

 

専任技術者は、1日の空白も許されません。

専任技術者が退職などで不在になると、営業所でのその業種の許可は無許可の状態となります。

これにそなえて、代替要員の確保まで対策できれば言うことはありません。

主任技術者の対策にもなりますので、ぜひご検討ください。

※専任技術者のくわしい解説はこちらです。

👉専任技術者の要件|建設業許可のもう一つのヤマ

 

大臣許可を取ることのメリット・デメリット

知事許可から大臣許可に変わるとどのような影響があるのでしょうか。

大臣許可を取ることのメリット・デメリットを考えてみましょう。

 

大臣許可のメリット

大臣許可には、次のようなメリットがあります。

 

ⅰ)受注規模の拡大が期待できる

知事許可であっても全国どこでも工事を施工できます。

しかし、仕事を取るための営業には、営業所は欠かせないでしょう。

営業所を他の地域に置くことで、工事受注の可能性は大きく広がります。

 

ⅱ)他の地域で公共工事の受注を目指す場合にとても有効な手段である

公共工事では、指名競争入札で工事業者を決定することが増えています。

指名入札において多くの自治体では、本店または営業所を置く業者を優遇して指名する傾向があります。

今後、この傾向はますます強まると考えられています。

 

ⅲ)社会的な評価が高まる可能性がある

国土交通大臣の許可を持つことは、複数の都道府県に拠点を置いて営業することを意味します。

ですから、規模の大きな建設会社とのイメージを持たれやすいでしょう。

そのため取引先や金融機関からは、一定の評価を受ける可能性があります。

 

大臣許可のデメリット

逆に、大臣許可は次のようなデメリットを持っています。

 

ⅰ)大臣許可を維持するには技術者の確保が必要となる

大臣許可を維持するには、最低でもそれぞれの営業所に配置できる専任技術者と主任技術者が常時在籍しなければなりません。

専任が必要な工事現場もありますので、技術者がぎりぎりの人数では違法となるおそれがあります。

また、従たる営業所には専任技術者以外に支店長などの令3条の使用人も必要となります。

このため、継続的に技術者などの人材が確保できる体制がとても重要です。

※主任技術者と監理技術者については、こちらの記事をご覧ください。

👉主任技術者と監理技術者の違い|建設業法

👉主任技術者・監理技術者の資格要件とは|建設業法

 

ⅱ)手続きにかかる費用が増える

大臣許可に変更するには、許可換え新規という新規扱いの申請が必要です。

知事許可を持つ場合でも、大臣許可への申請に登録免許税が15万円かかります。

 

ⅲ)取得まで時間がかかる

大臣許可を申請してから許可取得まで、約3か月程度かかります。

申請書類の作成、各種書類の収集を含めると4~5か月は必要でしょう。

許可が下りるまでは営業所を使用できません。

十分余裕をもって、計画的に進めることが大事です。

ちなみに知事許可の新規申請では、申請から約1か月程度で許可が取得できます。

 

ⅳ)営業所を廃止するときにも費用がかかる

営業所の専任技術者が欠けるなどして営業所の要件が維持できないと、知事許可に戻す必要が生じます。

再度、許可換え新規の申請のために9万円の申請手数料が別途必要です。

また、営業所撤退のための費用も掛かります。

※許可換え新規が知りたい方はこちらで

👉許可換え新規申請をわかりやすく解説|建設業許可

 

まとめ

大臣許可を取得するためのポイントは3つでした。

①営業所を設置すること

②令3条の使用人を配置すること

③営業所の専任技術者を配置すること

 

令3条の使用人は、営業所への常勤と申請による登録が欠かせません。

また、欠格要件に該当していないかの確認も重要です。

 

専任技術者も営業所への常勤と一定の資格・経験が必要です。

また、専任技術者は許可要件ですので、1日の空白も許されないことを頭に入れておいてください。

 

大臣許可を取ることの最大のメリットは、事業規模を拡大できることに尽きます。

ですが、このメリットを享受するためには、技術者をしっかり確保、育成することが大事です。

一定の資格と経験を持つ技術者をどれだけ揃えられるか、今後増やせるかにかかっています。

社内に資格取得の奨励制度を設けるなど、技術者を増やすための政策が必要と考えます。

 

ぜひ、大臣許可を取得し、確実に維持することで、事業の拡大につなげてください。

 

ほかにも建設業許可について解説しています。あわせてご覧ください。

👉許可の有効期限と更新申請について|建設業許可

👉決算変更届(決算報告)とは|建設業許可

👉専任技術者を変更する手続き|建設業許可

👉建設業者の代表者の変更|建設業許可