建設業許可|取った後の手続き

般特新規申請をわかりやすく解説|建設業許可

建設業者が発展していく過程には、さまざまなステップがあります。

下請け業者から元請を目指すようになるタイミングもその1つだと思います。

一般建設業の許可業者から特定建設業の許可業者へのステップアップです。

このときに必要となるのが「般特新規(はんとくしんき)」と呼ばれる申請手続きです。

 

しかし、下請から元請を目指すときには、慎重に検討することが必要だと考えます。

元請として大きな工事を受注するには、クリアすべきハードルが一気に上がります。

クリアすべきハードルとは、技術者要件と財産要件の2つのことです。

特定建設業を維持するためには、この2つをクリアしなければなりません。

※財産要件は、5年ごとの更新時にクリアが必要です。

 

今回は、「般特新規」申請をわかりやすく解説します。

それと同時に特定建設業に特有の要件や、特定建設業のメリットデメリットなども確認しています。

これらの理解を深めていただき、ぜひステップアップを実現してください。

それでは解説を始めます。

 

建設業許可について、ほかにも解説しています。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉許可の有効期限と更新申請について|建設業許可

👉建設業者の代表者の変更|建設業許可

👉専任技術者を変更する手続き|建設業許可

 

「般特新規」申請について

「般特新規」申請が必要な場合とは、次の2つのパターンがあります。

①「一般建設業」の許可のみを受けている者が、新たに「特定建設業」の許可を申請する場合

 

②「特定建設業」の許可のみを受けている者が、新たに「一般建設業」の許可を申請する場合

建設業法では、業種別許可制といって、29種類の業種ごとに許可を取得することになっています。

そして、1つの業種については、一般と特定の両方の許可を取得することはできないことになっています。

たとえば、A建設業者が建築一式工事について、一般と特定の両方の許可を持つということはあり得ません。

許可は、「一般」の建築一式工事か「特定」の建築一式工事のどちらかとなります。

 

これは、複数の営業所を持つ場合でも同じです。

本店では特定の電気工事、B支店では一般の電気工事の許可を持つ、ということもあり得ません。

一般建設業と特定建設業をこちらで解説しています。

👉一般建設業と特定建設業はどう違うのか|建設業許可

 

「般特新規」申請は、新規申請の扱いになります。

ですが、申請書類については若干省略されるものがあります。(財務諸表など)

 

一般のみの許可業者が特定を新たに取得する

一般建設業者が、新たに特定建設業者になる場合には、「般特新規」申請を行うことになります。

 

たとえば、一般の塗装工事と防水工事の許可業者が、そのうちの防水工事だけを特定建設業許可に変えたい場合には「般特新規」の申請をします。

この場合、「般特新規」を申請し、無事に特定建設業の許可が取得できたときには、従前の一般建設業の許可は失効します。

なお、専任技術者の交代が必要な場合は、専任技術者の変更届も提出します。

 

では、一般の塗装工事と特定の防水工事の許可業者が、一般のとび・土工工事の許可を取るときはどうでしょうか?

すでに、一般も特定も持っていますので、この場合は「業種追加」の申請をすることになります。

「般特新規」は、一般のみ、または特定のみの許可業者が、行う申請ですのでご注意ください。

業種追加のくわしい解説はこちらをご覧ください。

👉業種追加と許可の一本化|建設業許可

 

一般と特定の許可要件のちがい

般特新規では、新規許可を申請する際の許可要件をクリアする必要があります。

 

新たに申請する許可業種について、経営業務の管理責任者、専任技術者などが審査されるということです。

特に特定建設業の許可を般特新規申請する場合、専任技術者と財産的基礎の要件が一般建設業とくらべ大きく違ってきます。

発注者や下請保護を目的として、連鎖倒産を防止する必要があるため、要件がとても厳しくなっています。

 

特定建設業における専任技術者

特定建設業における専任技術者の要件は、次のとおりです。

ⅰ)1級の国家資格者等(1級施工管理技士・技術士)

ⅱ)一般の専任技術者要件+元請として2年以上の指導監督的実務経験

ⅲ)大臣特認

※指定建設業の許可には、1級の国家資格者が必要です。

 

一般に比べ、専任技術者のハードルは高くなります。

また、実際の工事施工において、特定許可が必要な工事については監理技術者の配置が必要となります。

さらに、これらの工事については、監理技術者の専任が必要な工事となることが多いと思われます。

複数の現場を並行して施工するには、一定数の技術者が必要となります。

くわしくはこちらをご覧ください。

👉主任技術者と監理技術者の違い|建設業法

 

特定建設業における財産的基礎

特定建設業における財産的基礎の要件は、つぎの4つです。

ⅰ)資本金の額が2,000万円以上であること

ⅱ)自己資本の額(純資産合計)が4,000万円以上であること

ⅲ)欠損の額が資本金の額の20%以内であること

ⅳ)流動比率が75%以上であること

 

特定建設業の場合、許可の更新ごとにこの財産的基礎要件が審査されます。

更新時にクリアできないときは、①増資などでクリアするか、②特定から一般に許可を変える必要があります。

財差的基礎をこちらでくわしく解説しています。

👉財産的基礎要件(金銭的信用)について|建設業許可

 

特定建設業許可を取得するメリット

特定建設業許可を取得すれば、次のようなメリットを享受することができます。

・元請として大規模な工事を受注することができるので、企業を成長させることができる。

 

・官公庁の発注価格のランク付けでも、上位については特定建設業を要件とすることが多く、ランクアップが狙える。

 

特定建設業許可を取得するデメリット

特定建設業のデメリットとしては、許可を維持することが難しいことがあげられます。

主に次のミッションをクリアする必要があります。

①般特新規の申請時には、「経営業務の管理責任者」、「特定の専任技術者」、「特定の財産的基礎」の要件をクリアすること

②専任技術者は、1日でも空白ができると許可取消となるため、継続して営業所に置いておくこと

※複数の営業所を持つ場合、専任技術者の転勤にも注意が必要です。

③更新の都度、特定建設業における「財産的基礎」をクリアすること

④工事の施工時には、監理技術者の配置義務を守ること

※専任を必要と現場に特に注意が必要です。

※主任(監理)技術者をある程度抱えていないと、技術者の配置に苦労することになります。

これらの技術者要件、財産要件をクリアできず、一般建設業にもどるケースが起こっています。

特定建設業へのステップアップについては、慎重に検討することが必要です。

 

特定のみの許可業者が一般を新たに取得する

特定のみの許可業者が一般を新たに取得する場合の申請は、2つに分かれることになります。

 

ⅰ)許可業種の「一部」について、特定から一般に変える場合・・・

 

特定のみの許可業者が、許可業種の「一部」について一般許可に変えるときは、次のように「般特新規」で申請します。

 

その特定許可の業種について廃業をして、「般特新規」の申請を行います。

 

ⅱ)許可業種の「全部」について、特定から一般に切り替える場合・・・

 

特定のみの許可業者が、許可業種の「全部」について一般に変えるときは、次のとおり「新規」で申請します。

 

特定建設業の全部の業種について廃業させた後、般特新規ではなく「新規」申請で一般の許可を受けることになります。

手数料

般特新規の申請は、新規の扱いになりますので、新規申請と同じ金額となります。

・知事許可:90,000円

・大臣許可:150,000円

※「業種追加」の場合は、知事許可、大臣許可ともに手数料は50,000円です。

 

般特新規の注意点

般特新規の申請を行う場合、次の点に注意してください。

前回の更新から今回の申請までの間、決算変更届や各種の変更届の提出漏れがありませんか?

役員や経管・専技、支店長、営業所長の変更、営業所の移転などがあれば、変更届の提出が必要です。

もし、変更届の提出ができていないと、般特新規の申請は受付されません。

なお、変更届を提出しないまま、変更前の情報で許可を受けた場合、監督処分を受けることになります。

また、般特新規の申請だけではなく、業種追加や更新の申請もできなくなります。

十分に気を付けてください。

決算変更届をこちらで解説しています。

👉決算変更届(決算報告)とは|建設業許可

 

まとめ

「般特新規」の申請について確認しました。

 

建設業者として事業を拡大するためには、特定建設業の許可取得は重要なステップです。

しかし、特定建設業を維持していくためのハードルが、非常に高くなることをご理解ください。

 

特に次の2つの要件について、クリアし続けるための準備・対策が不可欠です。

①安定的な数の技術者をどのように集め、育て、維持していくのか?

②財務内容の充実、健全化をどう維持していくのか?

特定建設業が視野に入ってくる段階で、しっかりと戦略を練っていただきたいと思います。

 

ほかにも建設業許可について解説しています。

ぜひ、あわせてお読みください。

👉経営業務の管理責任者の要件|建設業許可で最大のヤマ

👉建設業法の処分・罰則を理解する完全ガイド

👉主任(監理)技術者と専任技術者の兼務(一人親方)|建設業法

👉軽微な工事とは(許可が不要な工事)|建設業許可