建設業許可|取るための知識

建設業法の処分・罰則を理解する完全ガイド

この記事の要約と結論

1.建設業者には監督処分と罰則の知識が必要

2.許可取消の理由、2トップは「傷害・暴行で罰金刑」と「道交法違反で懲役刑」

3. 監督処分は公表される・営業停止になるとその期間は新しい仕事が取れなくなる

4. 違反をした人だけではなく会社も罰を受ける「両罰規定」に注意

5. 建設業法に違反して罰金刑以上を受けると許可が取り消される

 

この記事を読めば、建設業法などに違反した場合に受ける「監督処分」と「罰則」の全体像がわかります。

建設業のプロとして必ず知っておくべき知識ですよね。

とにかく最後まで一読ください。損はさせません。

 

建設業許可をほかにも解説しています。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉建設業許可の29業種をわかりやすく解説

 

建設業者の処分・罰則とは

全国で2015年から2019年の5年間に486社の建設業者が許可取消になっています。

国土交通省:建設業者の不正行為等に関する情報交換コラボレーションシステム」を参照しました。

この数は、多いとも思えるし、そんなものかとも感じます。

取消の理由はいろいろですが、一番多いのは傷害や暴行事件で罰金刑以上の刑を受けた場合です。

大きな犯罪ではなく、身近にあるトラブルから許可取消になっています。

建設業者にとって怖いところです。

 

また、無許可で500万円以上の工事を受注した場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と決められています。

かなり厳しいですよね。

 

ルールが守れない者には厳罰で臨む、というスタンスがうかがえます。

このように建設業法は不良で悪質な業者を排除するため「監督処分」や「罰則」を定めています。

 

許可取消などを「監督処分」といいますが、これは監督官庁である国土交通省や都道府県が行う直接的に法を守らせるための行政処分のことです。

監督処分より軽い指導・助言・勧告・立入検査などの「行政指導」を行うこともあります。

 

一方、「罰則」は、検察官が建設業法違反として起訴を行い、刑事裁判の手続を通じて裁判所が罰則を科す刑事罰のことです。

起訴前に、警察に逮捕・勾留され身柄を拘束されることもあります。

 

1つの違反で「監督処分」と「罰則」の両方とも受ける可能性もあります。

ぜひ、処分や罰則を受けないために、注意すべきポイントをつかんでください。

まずは、「監督処分」から確認します。

 

監督処分

監督処分の種類

監督処分は、軽いものから順に

① 指示処分(業務改善命令)

② 営業停止処分

③ 許可取消処分

となります。

 

通常、初めての違反やうっかりミスによる違反の場合、「指示処分」がなされます。

しかし、故意に行っていて悪質な場合や、再発の危険性がある場合などは、いきなり「営業停止」や「許可取消」が行われることがあります。

※他に「営業禁止処分」というのがあります。

営業停止や許可取消を受けた建設業者の役員・個人事業主などが、別会社を設立して、または個人として許可を受けることによって、建設業を営業することが禁止されるものです。

 

① 指示処分(業務改善命令)

指示処分は、監督官庁が業者に業務の改善を命令するものです。

  • 重大ではない労災事故の発生
  • 主任技術者を置いていなかった

などの軽めの違反があったとき、社内への周知や研修を命令されます。

※指示処分を受けた場合、別途、入札について指名停止処分を受けることがあります。

 

② 営業停止処分

営業停止は、次のいずれかに該当した場合に処分を受けます。

ア 指示処分に該当する行為が、故意や重大な過失によって行われたこと

イ 指示処分に従わない場合や指示処分に違反した場合

 

【主な営業停止日数】

  • 建設業者の談合・贈賄等・・・代表者:1年間、他の役員:120日以上
  • 一括下請負(工事の丸投げ)・・・15日以上
  • 無許可業者との下請契約・・・7日以上
  • 施工体制台帳を不作成・・・7日以上
  • 無許可業者などとの下請け契約・・・7日以上
  • 経審や入札参加資格申請の虚偽申請・・・15日または30日以上
  • 主任技術者を置いていない・・・15日以上
  • 粗雑工事による重大な欠陥・・・7日以上
  • 公衆危害・・・7日以上
  • 工事関係者事故(労災)・・・3日以上
  • 建築基準法・廃棄物処理法・労働基準法・法人税法違反・・・7日以上

岡山県の事例を調べてみました。

岡山県:建設業監督処分一覧」を参照

一番多かったのは、施工体制台帳の虚偽記載でいずれも7日間の営業停止でした。

続いて、入札での談合です。こちらは120日、1年間の営業停止となっており、非常に重い処分です。

次が、廃棄物処理法の焼却禁止違反で3日間ですが、これは岡山県ならではでしょうか。

この他には、経審の申請書の虚偽記載で30日間、無許可業者に500万円以上の下請工事をさせ7日間の営業停止などの処分事例がありました。

 

③ 許可取消処分

次の5つの理由によって許可取消となります。

ア 許可要件(経管・専任技術者など)を満たさなくなったとき

イ 欠格要件に該当したとき

ウ 不正な手段により建設業許可を取得したとき

エ 指示処分や営業停止処分に該当し、情状が特に重いとき

オ 指示処分や営業停止処分に違反したとき

では、許可取消処分を深掘りしてみましょう。

 

「許可取消」の最近の傾向は

それでは実際の取消事例からどういう理由で許可が取り消しになっているのか見ていきましょう。

 

圧倒的に多いのが、「傷害や暴行事件」を起こして刑事裁判で「罰金刑以上」の判決を受けたケースです。

これは、「イ 欠格要件に該当したとき」に当てはまりますね。

 

それに負けないくらい多いのが、道路交通法違反で執行猶予のついた「懲役」の判決を受けた場合です。

自動車による人身事故が原因だと考えられます。

最近では「あおり運転」やスマホの「ながら運転」も厳罰化されてますので要注意です。

これも「イ 欠格要件に該当したとき」です。

 

役員等(取締役、顧問、相談役、持分が5%以上の株主が含まれます)が、欠格要件に該当したら許可取消です。

もし、欠格要件に該当しそうになったら、本人を役員から外すことで許可取消を回避することができます。

会社として役員さんが欠格要件に該当していないかどうか、常に把握しておくことがとても重要です。

 

欠格要件については特に次の条項に気を付けましょう。

 

  • 「禁固以上の刑を処せられて5年を経過しない者」
  • 「建設業法などの法令違反で罰金以上の刑に処せられて5年を経過しない者」

※建設業法のほか刑法(傷害、暴行、脅迫、背任など)・建築基準法・宅地造成等規制法・都市計画法・景観法・労働基準法・職業安定法・労働者派遣法・暴力団対策法などの法令違反も含みます。

 

つまり、役員の1人が、何らかの法令違反で禁固や懲役刑を受けたら「許可取消」です。

また、役員の1人が、建設業法などの法令違反で罰金以上の刑を受けたら「許可取消」です。

くわしくはこちらをどうぞ。

👉欠格要件の完全ガイド|建設業の許可・取消では要注意

 

次に多いのが、税金に関して懲役を受けた場合です。

法人税法違反や消費税法違反で脱税額が数千万円を超える場合でしょうか。

これは「欠格要件」と「エ 指示処分や営業停止処分に該当し、情状が特に重いとき」に当たります。

 

他には建設業法違反(罰則のところで解説します)や覚せい剤・大麻取締法違反、詐欺、脅迫、選挙がらみでの許可取消です。

労働者派遣法違反というのもありました。建設業では派遣は原則禁止です。

また、装請負には注意してください。

 

あと、「ア 許可要件(経管・専任技術者など)を満たさなくなったとき」も注意が必要です。

経管や専任技術者は許可の要件ですから、1日でも不在になると即許可取消です。

死亡や長期入院などの理由であっても許可取消となります。

 

許可取消になっても再度許可申請ができるのか?

許可取消の実態についてはご理解いただけたかと思います。

では許可が取り消された後、すぐに許可を再取得することはできるのでしょうか?

実は許可取消の理由によって2つに分かれます。

 

ⅰ)5年間は許可申請ができなくなる場合

次の2つに該当する場合は、悪質とみなされその後5年間は許可の再取得ができなくなります。

その上許可が取り消されたときのすべての役員が、5年間は許可の申請ができなくなります。

 

・「ウ 不正な手段により建設業許可を取得したとき」

※許可申請書に虚偽の記載をして許可を受けたときなどです。

 

・「オ 指示処分や営業停止処分に違反したとき」

許可申請時に、役員の1人が欠格要件に該当しているにもかかわらず「該当者なし」としてしまうと、不正な手段で許可取得をしたことになりこれに該当します。

500万円未満の軽微な工事だけを受注するのであれば許可がなくても営業できますが、それなりの規模で運営していた場合は最悪廃業となることもあります。

十分な注意が必要です。

👉軽微な工事とは(許可が不要な工事)|建設業許可

 

ⅱ)上記以外の理由で許可取消になった場合

この場合は、すぐに許可の再申請ができます。

5年を待つ必要はありません。

ただし、処罰を受けた本人だけは、5年間は許可申請をすることはできません。

 

処分の公表

処分を受けると「建設業者監督処分簿」に5年間記載されます。

これがホームページ上にアップされ、だれでも見ることができるようになります。

画像をクリック(タップ)するとサイトに移動します

国土交通省:建設業者の不正行為等に関する情報交換コラボレーションシステム(上の画像が表示されます)

画像をクリック(タップ)するとサイトに移動します

岡山県:建設業監督処分一覧(上の画像が表示されます)

 

そのほか業界新聞などにも掲載されますので同業者に広まるのも結構早いようです。

 

このほかに、建設業者の違反がだれでも通報できるよう専用窓口が作られています。

駆け込みホットライン(0570-018-240)」といいます。

建設業者の違反情報を集めるために役所も対策しているということを知っておきましょう。

 

営業停止処分を受けるとできなくなることは何?

営業停止期間中はどんなことができなくなるのかを知っておきましょう。

①営業停止期間中はできなくなること

  • 新しい建設工事の請負契約を結ぶこと(新たな工事の受注ができなくなる)
  • 営業停止を受ける前に受注した建設工事の追加工事を行うこと
  • 新しい建設工事の請負契約に関する入札・見積り・交渉をすること

 

②営業停止期間中でもできること

  • 建設業の許可、経営事項審査、入札の参加資格審査の申請(入札には参加できません)
  • 営業停止を受ける前に受注した建設工事の施工
  • 施工ミスやアフターサービス保証による修繕工事をすること
  • 災害時の緊急を要する建設工事の施工
  • 代金等の請求、受領、支払い等/資金の借り入れ等

営業停止処分や指示処分を受けた場合には、入札に関して指名停止となることがあるので注意が必要です。

 

罰則

建設業法における罰則とは

監督処分以外に建設業法では罰則が決められています。

ただ、建設業法違反で罰則を受けることは実際にはあまり多くないと思います。

建設業法違反で警察にタイホされたとか起訴されたとかあまり聞かないですよね。

しかし、大事なことですので理解はしておきましょう。

 

建設業法の罰則を知っておく

原則として、違反をした人が罰を受けます。

通常、個人事業者だと本人が、会社であれば役員、営業所長、工事責任者などが対象になります。

このときに注意が必要なのは、違反した人とは別に、会社にも1億円以下の罰金が科されることがあるということです。

これを両罰規定といいます。

 

建設業法違反で罰金刑以上が確定すると許可取消ですから、両罰規定を受けると会社は許可を再取得する必要があります。

 

ちなみに産廃業者の場合は、一番重い罰則が「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」です。

産廃業者ほどではないですが、建設業者の罰則もけっこう重たいと感じます。

 

一 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(懲役および罰金を併科できる)

  • 無許可で営業
  • 特定建設業以外の者が一定額以上の下請契約を締結
  • 営業停止に違反(会社が対象)
  • 営業禁止に違反(役員が対象)
  • 虚偽・不正な方法で許可を取得

 

二 6か月以下の懲役または100万円以下の罰金(懲役および罰金を併科できる)

  • 許可申請書の虚偽記載・変更届出書の未提出
  • 経営状況分析、経営規模等評価の申請書虚偽記載

 

三 100万円以下の罰金

  • 主任技術者などを置かなかった
  • 経営状況分析、経営規模等評価に関する未報告、虚偽報告など

 

四 10万円以下の過料・廃業届未提出・標識の掲示違反

  • 標識を掲げていない
  • 帳簿を備え付けていない

 

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

許可取消を中心に「監督処分」と「罰則」を確認しました。

建設業法にはさまざまな規制が設けられていて、これらに違反すると行政処分として「監督処分」がなされたり、これと併せて刑事罰として「罰則」を受ける可能性があります。

どんなときにどんな処分や罰則を受けるのか、しっかり確認しておきましょう。

特に厳しい処分である「許可取消処分」や「営業停止処分」を受けないために、最近の傾向も知っておいてください。

 

ところで、あなたの会社で許可取消や営業停止に該当するようなことは起こってませんか?

本人が事の重大さに気づいていないと、傷害や暴行事件で罰金刑を受けたような場合、隠したくなるのが人情でしょう。

結果として発覚が遅れ、会社が大変なことになることがあります。

少なくとも経営陣や幹部の方は、これらの防止を図るとともに事実の把握にしっかり取り組むべきだと考えます。

 

また、罰則については、建設業法違反となるのはどんな行為なのかをご理解ください。

違反者だけでなく両罰規定で会社も1億円以下の罰金を受けることがあることもお忘れなく。

また、会社が建設業法違反で罰則を受けると許可取消となりその後5年間は許可の申請ができないことを覚えておいてください。

 

建設業許可についてくわしい解説をしています。

ぜひ、あわせてお読みください。

👉経営業務の管理責任者要件|建設業許可で最大のヤマ

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