建設業法の知識

その工事、丸投げ(一括下請負)になってませんか?|建設業法

あなたがイメージする工事の丸投げとは、どんな工事でしょうか?

建設業法では、工事の丸投げ、つまり一括下請負は原則禁止されています。

もし、「あなたが考える丸投げ」と「禁止されている丸投げ」がズレていると大変です。

「これが丸投げ???」とはならないように、しっかり理解しておきたいところです。

 

工事の丸投げは、投げた方も投げられた方も処分の対象になってしまいます。

工事を”させた”側も工事を”した”側も、最悪の場合、営業停止処分を受けることになります。

大臣許可業者であっても、一括下請負による営業停止を受けている事例もあります。

 

建設業界は、従来2次3次が連なる重層的な下請構造で工事が行われてきました。

しかし、国はこのような下請構造を嫌がっており、解消したいと考えています。

「一括下請負」が禁止される理由の1つでもあります。

 

この記事を読むことで、「一括下請負の禁止」について、どんな場合に該当するか、禁止の理由は、丸投げにならない方法はある?、違反した場合の処分は?という疑問が解消されます。

もう、工事の丸投げで悩むことはなくなります。

まずは、一読してください。

 

建設業についていろいろ解説しています。

👉決算変更届(決算報告)とは|建設業許可

👉許可の有効期限と更新申請について|建設業許可

👉法定福利費を見積書に記載できる?|建設業法

 

一括下請負(工事の丸投げ)の禁止

建設業法では、一括下請負(いわゆる工事の丸投げ)を原則として禁止しています。

「原則があるいうことは、例外もあるんじゃろ。」

その通りです。例外は後ほど。

まずは、原則をしっかり確認しておきます。

 

建設業法(22条)には、次のように規定しています。

①建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。

 

②建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負ってはならない。

要するに「丸投げしてもアウト」「丸投げされてもアウト」ということです。

 

工事の丸投げは、元請も下請けも禁止されていて、発覚すれば両者とも監督処分を受けることになります。

この場合、「元請」は許可業者だけが対象ですが、「下請」は許可のない業者であっても処分の対象です。

ちなみに…

・下請同士でも原則禁止です。

元請↔1次はもちろんですが、1次↔2次、2次↔3次・・・も処分の対象です。

 

・さらに親会社と子会社の間であっても一括下請負となります。

施工する者が受注すべきだという考え方です。

一括下請負を回避するために、1つの請負契約を分割したり、他人の名義を使った場合も、実態が一括下請負に該当するものは一切禁止です。

また、たまたま一括下請負で出来上がった工作物が、発注者の期待を遥かに上回る良い出来であったとしても許してもらえません。

 

一括下請負禁止の理由

「そがんにええもんが出来るんじゃったら丸投げでもええじゃろ」

ある意味納得ですが、一括下請負は厳しく禁止されてます。

発覚した場合の監督処分はとても厳しいんです。

理由は3つです。

・発注者はその建設業者の腕(技術)と人柄を見込んで依頼しており、その信頼を裏切ることになるため

 

・工事の責任があいまいになり、手抜工事が増え労働条件の悪化につながる

 

・中間搾取を狙う施工能力のないブローカーが増えることを防ぐため

公共工事でも一括下請負は全面的に禁止です。

経審においても、提出された数値によって一括下請負のチェックが行われています。

 

一括下請負とは

元請負人がその下請工事の施工に「実質的に関与している」ときを除いて、次の①、②に該当する場合は一括下請負となります。

①請け負った建設工事の「全部またはメイン工事」を一括して他の業者に下請させる場合

ⅰ)本体工事のすべてを一業者に下請させ、附帯工事のみを自社や他の下請が施工する場合

ⅱ)本体工事の大部分を一業者に下請させ、本体工事のうちメインでない一部分を自社や他の下請が施工する場合

事例)

・建築物の電気配線の改修工事において、電気工事のすべてを1社に下請させ、これに伴う内装仕上工事のみを自社や他の業者に下請させる場合

 

・戸建住宅の新築工事において、建具工事以外のすべての工事を1社に下請させ、建具工事のみを自社や他の業者に下請させる場合

 

②請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の工事を一括して他の業者に下請させる場合

事例)

・戸建て住宅10戸の新築工事を請負い、そのうちの1戸の工事を1社に下請させる場合

 

・道路改修工事2㎞を請け負い、そのうちの500m分を特に分割する理由がないのに他の1社に下請させる場合

 

ここで重要なのは「実質的に関与している」かどうかということです。

大事なのでもう1回言います。

元請負人が「実質的に関与」していれば、上の①や②の状態でも一括下請負には該当しません。

 

「実質的に関与」とは

では「実質的に関与する」とはどういうことでしょうか?

元請負人が自ら総合的に企画、調整及び指導を行っていることをいいます。

具体的には、元請負人が①から⑥について主体的な役割を現場で果たしていることが必要です。

①施工計画の作成

②工程管理

③出来型・品質管理

④完成検査

⑤安全管理

⑥下請業者への指導監督

※①から⑥の業務を元請と下請など2業者で分担することはできません。

 

また、発注者から工事を直接請け負った業者は、上に加えて次のことについても主体的な役割を果たす必要があります。

⑦発注者との協議

⑧住民への説明

⑨官公庁等への届出等

⑩近隣工事との調整

 

注意点)

・単に主任(監理)技術者を置いているだけでは「実質的に関与」したことにはなりません。

①から⑩の役割を果たしていることが必要です。

 

・複数の下請を使う場合でも実質的関与がないと一括下請負とされます。

 

一括下請負の判断基準

一括下請負に該当するかどうかの判断は、元請負人が請け負った建設工事1件ごとに行います。

原則として請負契約ごとに判断されます。

 

一括下請負に該当するかどうかの具体的な判断には、正直難しい面があります。

もし不安がある方は、役所で相談することをおすすめします。

参考にQ&Aを貼っておきます。時間のある方はぜひ。

 

出典:北陸地方整備局「建設業者のための建設業法」

 

例外規定

一括下請負は原則として禁止されますが、これには例外があります。

事前に発注者から書面で承諾を得た場合は、一括下請負が認められます。

ただし、注意点があります。

・民間工事で、共同住宅(マンション、アパートなど)を新築する工事以外の工事に限られます。

・最初の注文者である発注者の承諾が必要です。一括下請負をする前に書面で承諾を受けておきます。

・2次以降の再下請負の場合にも、最初の注文者である発注者の書面による承諾が必要です。

・発注者から承諾を得て一括下請負した場合でも、主任(監理)技術者の配置は必要です。

なお、公共工事では一括下請負は全面的に禁止されています。

 

違反した場合には重いペナルティが・・・

一括下請負は、発注者の信頼を裏切る行為ですから、重いペナルティが待っています。

一括下請負に該当すると、原則として15日以上の営業停止処分を受けることになります。

「丸投げした元請」も「丸投げされた下請」もどちらも処分を受けることになるので注意してください。

また、経審では完成工事高から除外されてしまい、実績として評点の対象にもなりません。

合わせて知っておいてください。

 

まとめ

一括下請負は、工事を出す方も、出される方も処分を受けることになります。

知らず知らずのうちに違反とならないよう、「一括下請負」を正しく理解しましょう。

 

一括下請負にならないためのいちばんのポイントは「実質的に関与する」ことです。

元請として、自社が工事全体を総合的に企画、調整、指導することが大事です。

 

下請業者としては、丸投げされてるのかどうか分かりにくい場合もあると思います。

しかし、行政は下請業者も指揮監督の状況を正確に把握して、漫然と一括下請違反にならないようにすべきと言っています。

下請としても元請の管理体制にも気を配り、丸投げ工事を受注しないことが大事です。

 

一括下請負の禁止規定には、重層的な下請構造を解消したいという国の意向が反映されています。

2次3次と下請が連なると、こんな悪影響が生じてしまいます。

・ブローカーなどが下請を利用して中間搾取を行う可能性が残る。

・中間搾取は公共工事では税金の無駄遣いにつながる。

・工事の責任の所在があいまいになり工事の質も低下し、労働環境も悪化する。

こうした批判に応えるため、一括下請負には目を光らせています。

しかし、裏返せば、経営力・技術力のある建設業者に元請として工事に参加してほしいと考えているからです。

これからの建設業者には、下請依存からの脱却が求められているのです。

 

ほかにも建設業許可を解説しています。ご覧ください。

👉主任技術者・監理技術者の資格要件とは|建設業法

👉建設業者が社会保険に加入することは義務なのか?

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