建設業許可|取るための知識

一般建設業と特定建設業はどう違うのか|建設業許可

一般建設業と特定建設業はどう違うのか。

だいたいはお分かりかと思います。

でも少しモヤっとしていますよね。

一般建設業と特定建設業のちがいをハッキリと理解されている人のほうが少ないと思います。

これも何かの縁です。

この機会に、もう一歩踏みこんで、正しい知識を身につけてほしいと思います。

 

これから独立しようという方も、すでに開業している方も規模を大きくしたいという思いは同じでしょう。

規模を大きくするとき、特定建設業の許可はさけては通れません。

今のうちに知っておいてください。

そして特定建設業への夢を、よりクリアなものに変えてほしいと思います。

知ることで何かが変わることもあります。

 

建設業許可の区分と種類

許可を持って建設業を行っている人のほとんどは知事許可で一般建設業のはずです。

許可業者46万社のうち、知事許可45万社、大臣許可1万社です。

また、一般建設業は44万社、特定建設業は4.5万社です。

44たす4.5は48.5・・・?

このカラクリはのちほど・・・。

ただし、ここだけは押さえてください。

建設業者のほとんどが、知事許可で一般建設業だということです。

建設業でメシを食おうとするなら、まず許可を取るべきか悩むでしょう。

500万円未満の工事しかやらないのであれば許可は要りません。

「でも元請さんから許可を取れと言われるんじゃ・・・」となっていきます。

(↑ノブじゃ)

そして一般の許可を取ると、だんだん大きい工事を任されるようになります。

業者や職人とも仲良くなり、従業員も増えていきます。

「元請工事をやってみてえなあ。」いい展開ですね。

 

しかし、行政書士や税理士に相談するとダメ出しをうけます。

「この要件がクリアできてないですね。このままでは特定は難しい」と。

ですから、早い段階で特定建設業の許可は、どうやったら取れるのか知っておくべきです。

特定に向けた準備の質が格段に違ってきます。

 

許可の区分

知事許可と大臣許可はどう違うのでしょうか?

この区分は、営業所をどこに置くかの違いです。

(知事許可)

・一つの都道府県にだけ営業所をおく場合は、都道府県知事の許可で大丈夫です。

この場合、一つの都道府県内ならば、複数の営業所があっても知事許可でOKです。

(大臣許可)

・複数の都道府県に営業所をおく場合は、国土交通大臣の許可が必要となります。

ですから、一つの業者が知事許可も大臣許可も持っている、ということはあり得ません。

どちらかの許可になります。

 

許可の種類

許可の種類とは、一般建設業と特定建設業のことをいいます。

これについては次で徹底解説します。

 

一般建設業と特定建設業とは

一般建設業と特定建設業は業種ごとの許可だという点をご理解ください。

まず、一つの業種で、一般と特定の両方の許可をもつことはできません。

例えば、電気工事で一般と特定の両方の許可を持っている、とはならないということです。

あくまでも、一般の電気工事の許可、または、特定の電気工事の許可となります。

一方で、業種が違うのであれば、両方の許可をもつことができます。

つまり、電気工事は一般を、建築一式工事では特定を持つことは可能です。

業種ごとに一般か特定のどちらかをもつことになる、ということです。

先ほど、許可業者の数を紹介しましたよね。

全体の業者数は46万社でした。

でも一般と特定を足したら48.5万社になりました。

これは業種によって一般、特定の許可が取れるためです。

一つの業者でも一般と特定の両方の許可を持っている場合があるからですね。

 

特定建設業

特定建設業の許可は、”元請”のための許可です。

元請の中でも、次の条件に該当する業者には特定建設業の許可が必要です。

・建築一式工事

1件の工事で下請けに出す工事の総額が6,000万円以上の場合

・建築一式工事以外の工事

1件の工事で下請けに出す工事の総額が4,000万円以上の場合

ここでのポイントは、何の金額で判断されるのか、というところです。

請負金額ではありません。

”下請け業者に出す下請工事の総額”です。

1次の下請けが複数あれば、それらを合計した金額です。

いくらの金額で工事を受注したのかは関係ありません。

 

一般建設業

一般建設業は、特定建設業に該当する業者以外になります。

次の場合は一般建設業の許可があれば仕事ができます。

・下請け工事だけを受注する場合

・元請だがすべての工事の施工を自社で行う場合

・元請だが、建築一式工事の下請け工事の総額が6,000万円未満の場合

・元請だが、建築一式工事以外の下請け工事の総額が4,000万円未満の場合

下請け工事とは、1次だけでなく2次以降の下請け工事もすべて含まれます。

ですから、直接発注者から工事を受注しない限り、一般建設業の許可で工事ができます。

こちらのフローチャートも参考にしてください。

特定建設業の区分はなぜ必要か

一般建設業と特定建設業を分けるのはなぜでしょう。

ずばり下請け業者を保護するためです。

下請け業者を守るために、特定建設業という区分を必要としています。

 

建設業界では、元請のもとに多くの下請け業者が連なるカタチをとります。

元請に支払い能力や工事を監理する能力がなければ、下請けが被害を受けることになります。

工事の規模が大きくなるほど、影響も大きくなる。

すなわち、元請が倒れることで下請けも被害を受けるという、連鎖倒産を防がなくてはなりません。

そこで、一定額以上の下請け工事を出す元請に、特定建設業の許可を求めています。

そして下請け業者を守るために、特定建設業の要件をとても厳しいものにしているのです。

 

一般と特定の許可要件の違い

一般と特定の許可要件が同じもの

建設業の許可要件は次の5つです。

ア 経営業務の管理責任者

イ 専任技術者

ウ 財産的基礎

エ 誠実性

オ 欠格要件

特定建設業の区分を置いたのは、下請け業者を守るためでした。

そのため特定建設業には、①支払い能力と②高度な技術と監理能力が求められます。

①支払い能力とは、多少のことがあっても、元請が下請け業者に支払いができることをいいます。

これは、財産的基礎がしっかりしていれば実現できます。

また②高度な技術と監理能力は、国家資格や現場での実務経験でカバーできます。

高度な知識と経験をもつ専任技術者がいれば大丈夫です。

 

ですから、上の5つのうち次の3つは、一般建設業と許可要件は同じです。

それで問題はないということです。

ア 経営業務の管理責任者

エ 誠実性

オ 欠格要件

許可要件についてはこちらでくわしく解説しています。

合わせてお読みください。

岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

経営業務の管理責任者要件|建設業許可で最大のヤマ

欠格要件の完全ガイド|建設業の許可・取消では要注意

 

特定建設業の要件が厳しい場合

一般より特定のほうが許可要件が厳しいのは次の2つです。

イ 専任技術者

ウ 財産的基礎

 

専任技術者

特定建設業の要件は次のとおりです。

・一定の国家資格者

・元請として請負代金が4,500万円以上の工事で指導監督的な実務経験を有する者

いずれにしてもかなり高いハードルだと認識してください。

国家資格の一覧表をはっておきます。

岡山県:建設業許可の手引より引用

表の中の●と◎のついた資格があれば、特定建設業の専任技術者になれます。

特定に必要な資格については、難易度がかなり上がります。

 

また、2年以上の指導監督的な実務経験とは次のすべての経験をいいます。

ⅰ)現場主任者や現場監督者のような立場での経験

ⅱ)4,500万円以上の元請工事

ⅲ)2年以上の指導監督的な実務経験

※指定建設業(表のグレーの網掛けがかかっている7業種)では国家資格しか認められません。

くわしくはこちらで解説しています。

実務経験で専任技術者になる|建設業許可の要件

 

財産的基礎

財産的基礎とは、求められる支払い能力があるかどうかということです。

特定建設業に求められる財産的基礎は次のとおりです。

・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと

・流動比率が75%以上であること

・資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

ここは軽く流しましょう。

ポイントだけお伝えします。

だいたいのイメージをつかんでいただければ十分です。

 

法律にはこう書いてあります。

「請負代金8,000万円以上の工事を履行するに足りる財産的基礎を有すること」

要するに8,000万円以上の工事に対する支払いができる業者は、特定の許可を認めますということです。

建設業では下請けに支払う割合(外注比率)を50%で見ています。

ですから、特定建設業の元請は、4,000万円(8,000万円×50%)以上の支払い能力が必要となります。

というわけで、「自己資本の額が4,000万円以上であること」が求められています。

特定建設業には、財産が4,000万円以上必要だと覚えてください。

 

特定建設業について考えてみる

特定建設業の許可で元請になると、民間でも公共工事でも請負金額は大きくなります。

大きい工事を取るための特定建設業の許可ですから当たり前です。

でも、工事の規模が大きくなるため、元請が倒れるとその影響も大きく、最悪は連鎖倒産が起きます。

重大な責任がありますので、どうしても要件が厳しくなるというわけです。

 

しかし、それに匹敵する2つのメリットがあります。

一つは、大きな工事が取れるということ。

もう一つは社会的な信用が大きいということです。

特に後者は、工事の引き合いが増えますし、借り入れなども好条件になりやすいです。

一般建設業では得られない、大きなメリットだと思います。

 

一方でデメリットもあります。

重要な点ですのでしっかり押さえてください。

大きく2つあります。

 

ひとつは専任技術者についてです。

退職や解雇などで、専任技術者が欠けた場合にかなり困ります。

2週間以内に代わりを立て変更届を出さなければ、許可が取り消されてしまうのです。

これは、特定に限ったことではないのですが、注意が必要です。

 

もう一つは財産的基礎についてです。

こちらは5年ごとの許可の更新のときに関係します。

許可取得後に、大きな赤字を出すと財産的基礎を満たさなくなります。

この場合、すぐに許可が取り消されることはありません。

しかし、許可の更新時になっても、赤字が解消されない、又は増資できなければ要件を満たしません。

この場合、許可の更新が認められないことになり、許可を失います。

そして一般の許可に変えるには、新規の許可申請が必要になります。

ですから、最低限許可の更新時には、財産を4,000万円以上維持することが必要となります。

十分にご注意ください。

この他に、技術者の配置を正しく行うことが求められます。

技術者の数が足りないと、特定の維持は困難になります。

 

まとめ

冒頭で見ましたが、特定建設業の許可業者は全体の1割にも届きません。

やはりそのくらいの難関だということです。

 

ただし、業者数の推移を見てみると違った風景がうかがえます。

全体の許可業者数は、ピーク時から13万社、23%減っています。

一方、特定業者はピーク時から5千社、10%程度しか減っていません。

これは次のことを意味します。

特定の建設業者になれば、長く事業を続けられる、ということを示しているのです。

 

特定になったときのメリットは非常に大きなものです。

大きな工事を請けることができることで、稼げる可能性は格段に上がります。

その結果として、長続きできる体力を身につけることができます。

 

また、社会的な信用は大きな力を発揮してくれます。

税理士事務所時代に、特定の業者さんの関与をしたことがあります。

やはり新聞に載るような大きな工事を手掛けられていました。

金融機関のバックアップに対する意気込みも他とは全然違います。

また忘年会に参加しましたが、下請けさんとの連帯感、ファミリー感が伝わるいい集まりでした。

 

スケールメリットの力は侮れません。

ぜひ、特定建設業の許可も検討してみてください。