建設業許可|取った後の手続き

経営業務の管理責任者を変更する手続き|建設業許可

今回は、経営業務の管理責任者(経管)の変更届の手続きについて解説します。

 

経管の要件は、建設業許可の基準の中で一番手ごわい要件です。

ですから、経管を交代、変更する場合には、しっかり準備しておきたいところです。

 

経管の交代をする場合は、十分に注意してください。

経管は、1日でも不在の状態になると許可が飛んでしまいます。

とてもこわい許可基準です。

特に代表者だけが経管を兼務する場合に、代表者を交代するときは要注意です。

代表者交代について、こちらでくわしく解説しています。

👉建設業者の代表者の変更|建設業許可

 

また、経管や専技の変更があった場合、2週間以内に変更届の提出が必要となります。

時間的にほとんど余裕がありません。

すぐに動かなければ間に合わない、ということを頭に入れておいてください。

 

それではまず、経管の要件を確認しましょう。

後半で経管の変更に必要な手続き、特に証明資料について解説いたします。

 

建設業許可について、他にも解説しております。

ぜひご覧ください。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉決算変更届(決算報告)とは|建設業許可

👉役員を変更した場合の手続き|建設業許可

 

経管の要件

経営業務の管理責任者には、次の経験を持つ人しかなることができません。

常勤の役員や個人事業主であって、建設業の経営に関する一定以上の経験を持っている人です。

それではすこし掘り下げて確認します。

 

経営に関する経験とは

経営に関する経験とは、建設業の経営業務を総合的に管理した経験をいいます。

工事ごとにおこなう資金調達、資材の購入、技術者や労働者の手配、下請の手配の経験をさします。

経管は、このような経営経験を一定の期間経験していなければならないのです。

 

対象者

対象者は、法人と個人でそれぞれ次のようになっています。

なお、基本的にこれらの人が常勤であることを求められます。

法人・・・取締役、執行役員、令3条の使用人、経営業務の補佐をした者(本店部長、営業所副所長など)

個人・・・事業主本人、支配人、経営業務の補佐をした者(家族従事者(子供・奥さん))

※令3条の使用人とは、メインの営業所以外の営業所の代表者(支店長・営業所長)のことをいいます。

※支配人とは、支配人登記された、事業主と同じ権限を持つ人のことです。

法人の執行役員と補佐の経験は大企業を救済するためのものです。

10名程度の建設業者で認めてもらえることは、ほぼほぼ無いと思っておいてください。

一方、個人の家族従事者については、事業主が死亡した場合などの救済措置です。

死亡した事業主の確定申告で、事業専従者給与の支給をしていることが条件となります。

 

経管の要件

では、常勤の役員などとしての経営経験は何年必要なのでしょうか。

結論から言うと、経験した業種については5年の経験が必要です。

経営経験が6年以上になると、すべての業種の許可を受けることが可能となります。

新規申請のときに5年の経験で1業種だけ許可を取得しておいて、翌年、変更届を提出し他の業種の許可を取得する、ということもできます。

 

念のため、経管の要件のすべてのパターンを確認しておきましょう。

ⅰ)許可を受けようとする業種のみを取得できるケース

ア 許可を受けようとする業種での5年以上の経営経験

イ 執行役員として許可を受けようとする業種での5年以上の経験

ウ 6年以上の経営業務を補佐をした経験

 

ⅱ)許可を受けようとする業種とちがう業種の許可が取得できるケース

ア 許可を受けようとする業種以外の業種での6年以上の経営経験

イ 執行役員として許可を受けようとする業種以外の業種での6年以上の経験

 

経管の変更手続きに必要な書類

ここからは、経管の変更手続きに必要な書類について確認していきます。

書類は、2種類に分かれます。

ⅰ)法定書類・・・いわゆる申請書類と添付書類です。

ⅱ)確認資料・・・経管の要件をクリアしていることを証明する書類

 

ⅱ)の確認資料を揃えられるかが大きなポイントになります。

 

法定書類(申請書類)

経管の変更手続きには、つぎの申請書類の提出が必要です。

ア 経営業務の管理責任者証明書(様式7号)

イ 経営業務の管理責任者略歴書(様式7号別紙)

ウ 変更届出書

エ 役員等の一覧表

経管変更の手続きは、事実が発生した日から2週間以内が期限となっています。

2週間以内にこれらの書類を提出することになります。

特に、経管の急な交代が必要となったときの変更手続きには十分注意してください。

こちらで、経管を兼務する代表者の交代の注意点を解説しています。

ぜひ合わせてお読みください。

👉建設業者の代表者の変更|建設業許可

 

アとイの書類を貼っておきます。ご確認ください。

ア 経営業務の管理責任者証明書(様式7号)

イ 経営業務の管理責任者略歴書(様式7号別紙)

岡山県:建設業許可の手引より引用

 

確認資料

確認資料は、経管の要件をクリアしていることを証明するための書類です。

変更届を提出するタイミングで、資料の原本確認が行われます。

この確認資料を集められるかどうかが、最大のポイントになります。

場合によっては、相当苦労することになります。

書類がそろわず、申請や届出を断念することもあります。

どんな場合にどんな書類が必要になるのかしっかり確認しましょう。

※申請先によって必要な書類が大きく違ってきます。必ずご確認ください。

 

まずは、経管の要件をおさらいしましょう。

常勤の役員や個人事業主であって、経営業務の管理責任者としての経験を持っていることでしたね。

これを分解すると、現在の状況と過去の経験に分けることができます。

(現在の状況)

・いま現在、役員として常勤している(または個人事業主である)

(過去の経験)

・必要な期間分、役員や事業主などとしての経営経験があったのか

・その期間での経営経験は、どんな業種でのものだったのか

この3つを証明するために書類を提示することになります。

 

では、必要な期間とはどのぐらいの期間になるのでしょうか。

先ほど、要件のところでも触れましたが、最低でも5年分が必要です。

全ての業種を対象にするならば、6年分以上の書類を揃えなければなりません。

 

なお、確認資料としてどんな書類が認められるのかは、申請先によって取扱いがかなり違ってきます。

必ず、役所や行政書士に必ず確認するようにしてください。

 

現在の常勤性

いま現在役員として常勤していることを証明するための書類は、つぎの2つです。

①住民票

②健康保険被保険者証(健康保険証、国民健康保険証、後期高齢者医療被保険者証)

もう少しくわしく確認してみましょう。

 

①住民票

住民票にマイナンバーの記載があると受け付けてもらえません。

マイナンバーの記載のない、発行後3か月以内のものを添付します。

※申請先によっては不要な場合があります。

 

②健康保険被保険者証

国民健康保険証で、事業所名の記載がないものは、次のいずれかが必要です。

・被保険者標準報酬決定通知書または被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書

・住民税特別徴収税額通知書

・確定申告書

法人の場合・・・別表一と役員報酬明細書(※税務署の収受印が押されたもの)

個人の場合・・・第一表と第二表(※税務署の収受印が押されたもの)

・その他、常勤が確認できるもの

工事台帳、日報、賃金台帳、源泉徴収簿など

 

この現在の常勤性を証明するための書類は、集めるのに困ることは少ないと思います。

困るのは、過去の経験を証明する書類たちです。

 

過去の経験

過去の経験は2つに分かれます。

ア 経営を経験した期間の証明

イ 経験した業種の証明

どちらも証明が必要な期間分の書類が必要です。

 

ア 経営を経験した期間の証明

こちらは比較的集めやすい書類です。

経営を経験したときの立場によって、必要な書類が違ってきます。

(法人の役員)

・登記事項証明書(履歴事項全部証明書、閉鎖登記簿謄本など)

※履歴事項全部証明書では過去3年程度のものしか出てきません。その場合、閉鎖登記簿謄本などを取得します。

 

(令3条の使用人:支店長や営業所長など)

・建設業許可申請書の写し(または変更届の写し)

 

(個人事業主)

・確定申告書の写し(※税務署の収受印が押されたもの)

※手元にない場合、税務署で開示請求すれば7年分ぐらいは取得できる可能性があります。

 

イ 経験した業種の証明

この書類を集められず、許可を断念することが実際に起こります。

経営経験を積んだその企業が、許可業者かどうかで大きくちがってきます。

(許可業者で経営を経験した場合)

・建設業許可通知書の写し

以上です。この場合は、問題が起きることはほとんどありません。

(許可のない業者で経営を経験した場合)

次のいずれかが必要です。

・工事請負契約書

 

・注文書と工事請書

 

・請求書の写し

 

※請求書の場合や押印がない工事請書などには、通帳などが必要になります。

 

※申請先によっては、許可業者での経験であっても契約書などの提示を求められることがあります。

 

これらの書類は、原本を提示しなくてはいけません。

そして、5年以上または6年以上の期間のすべてがそろわなくてななりません。

特に、在籍した企業が他社の場合に、協力してもらえるかどうかです。

また、自社の場合でも、古い資料になると残っていないケースが多いのです。

自社の経験を証明するためにも、できるだけ書類は残すようにしておきましょう。

 

事業主の家族従事者(子供・奥さん)の救済措置

個人事業主には、事業主の死亡による経管の交代に救済措置が設けられています。

個人事業主の家族従事者が事業を引き継ぐことができます。

認められるには、家族従事者が事業専従者として5年以上給与をもらっていることが必要です。

経管の変更に必要な書類は、次のとおりです。

・戸籍謄本、住民票

・死亡した事業主の確定申告書(専従者給与の記載があるもの)

・建設業許可通知書(または建設業許可申請書)

・健康保険被保険者証(または雇用保険被保険者資格取得確認通知書)

・賃金台帳、源泉所得税の所得税徴収高計算書(納付書)

※2020年秋、個人事業主の死亡後30日以内の相続の認可申請で、相続人が許可を承継できるという改正が予定されています。

 

まとめ

経営業務の管理責任者を変更した際の手続きについて解説しました。

建設業許可の基準の中で、最大の難関がこの経管の要件です。

変更の場合も同じことが言えます。

 

特に経管が交代する場合には注意が必要です。

後任の方が要件をクリアしているのはもちろんですが、書類の準備を確実にしておいてください。

許可を持たない他社の証明が必要な場合は、必要期間分の契約書などを借りられるかどうかです。

確実に書類が借りられるようにしておきましょう。

 

また、経管の急な交代を避けるためにも、複数の経管を登録しておくことをおすすめします。

代表者が経管を兼務している場合はなおさらです。

理想をいえば、新旧の代表者と幹部候補で、すべての業種に対応した経管の登録をしておくことです。

いつでも交代できる準備をしておけば、安心して経営に専念できます。

また、後継者の育成にも効果があると考えます。

そのためにも、次世代の経管の対策と準備にできるだけ早く着手してください。

 

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