建設業許可|取るための知識

経営業務の管理責任者に必要な確認資料|建設業許可

この記事は、こちらの続編となっています。まずはこちらをお読みください。

👉経営業務の管理責任者要件|建設業許可で最大のヤマ

 

経営業務の管理責任者、略して「経管(けいかん)(以後、経管と呼びます)」は、建設業許可申請において一番重要で、申請希望者のほとんどが頭を抱える問題です。

前回の記事では、経管の要件について徹底解説しました。

今回は、多くの方が頭を抱える「経営業務の管理責任者であることを証明する書類(以後、確認資料といいます)」について、できる限りわかりやすく説明いたします。

経管にはどんな書類が必要?、自治体によって必要な書類が違う?、書類を集めるだけなのになぜ頭を抱えるんじゃ?などの疑問にお答えします。

あなたが建設業の許可取得を実現したいのであれば、ぜひ一読してください、今回も損はさせません。

 

建設業許可の要件をこちらで解説しています。

あわせてお読みください。

専任技術者の要件|建設業許可のもう一つのヤマ

財産的基礎要件(金銭的信用)について|建設業許可

欠格要件の完全ガイド|建設業の許可・取消では要注意

 

経管の確認資料

経管の要件は2つです。

(ⅰ)常勤の役員であること

(ⅱ) 建設業における十分な経営経験を持っていること

この2つの要件を満たしていることを「確認資料」で証明します。

岡山県では、審査の一部として「営業所調査」が実施され、そこで確認資料の原本提示をすることになります。

他の自治体では、通常、書類審査のみで営業所調査は無く、確認資料の原本を許可申請時に窓口で提示するケースが多いです。

 

※この記事では、岡山県で必要な確認資料を中心に見ていきますが、できる限り他の自治体の情報もお伝えします。

確認資料については、各自治体での取り扱いに比較的大きな違いがあるので、必ず書類を集める前に確認をしてくださいね。

 

「(ⅰ)常勤の役員であること」の確認資料

「常勤している」ことと「役員である」ことをそれぞれ証明します。

①登記事項証明書(履歴事項全部証明書)

 

「役員であること」をこの書類で証明します。

この書類は、会社の住所を管轄する法務局または地方法務局で取得することができます。

管轄の法務局はこちらをご覧ください。

法務局:管轄のご案内

岡山県の場合は「岡山地方法務局」または支局、出張所です。

※個人事業者本人の場合には必要ありません。

 

② 健康保険被保険者証

「常勤していること」を「健康保険被保険者証」で証明します。

保険証に代えて「被保険者標準報酬決定通知書」または「被保険者資格取得確認通知書」などの書類でもOKです。

建設国保の場合、「国民健康保険証(組合員証)」のほか「厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」などが必要です。

これらの他に「賃金台帳」や「出勤簿」が確認されることがあります。

※他の自治体では、次の書類で代用できる場合が多いです。

ア「健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書」または「健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認通知書」

イ 住民税特別徴収税額通知書

ウ 個人:所得税確定申告書、会社:確定申告書(別表1と役員報酬明細書)

エ 源泉徴収票、賃金台帳+源泉税徴収高計算書など

※個人事業者本人の場合には必要ありません。(岡山県の場合)

 

※「常勤」の証明書類として、東京都などでは保険証以外に「住民票」を提出します。

住所地が、主たる営業所(本社など)に通勤可能な場所かどうか判断するために必要とされます。

 

「(ⅱ)建設業における十分な経営経験」を証明する確認資料

「建設業における十分な経営経験」は次の2つに分けて証明します。

A 役員の経験年数を証明するもの

B 経験した業種を証明するもの(期間分)

※経営を経験した期間中、実際に工事を行っていないと認められません。

営業所に看板を掲げていただけ、受注実績が無い場合は、経営経験の期間として計上できません。

 

A 役員としての経験年数を証明するもの

「法人の役員」「個人事業主」「令3条の使用人」のそれぞれで必要な書類が違います。

「令3条の使用人」の解説はこちら。

👉令3条の使用人と経営業務の管理責任者|建設業許可

 

【法人の役員】

①登記事項証明書(経験年数分)

経験年数分が必要なので、「履歴事項全部証明書」のほかに古い「閉鎖登記簿謄本」などが必要になることがあります。

 

②厚生年金被保険者記録照会回答票(経験年数分)

年金事務所・年金相談センターの窓口または郵送等で取得できます。

※代わりに「被保険者資格取得通知書」や「標準報酬決定通知書」でもOKです。

 

③出勤簿、賃金台帳など

 

【個人事業主本人】

①確定申告書の写し(経験年数分)

(「国税庁HP:申告書の記載例」から引用)

確定申告書には税務署の収受印がないと認めてもらえません。

国税庁のe-Taxから電子申告した場合は、メールで送られてきた「受信通知」を添付すれば大丈夫です。

※税務署の収受印がない場合は、市区町村が発行する「所得証明書」と確定申告書に記載された所得金額などが一致していれば代用できます。

また、申告書が手元にない方でも、税務署で開示請求の手続きを行えば、7年分程度の申告書を取得することができます。

👉国税庁:開示請求等の手続

 

【令3条の使用人(支配人・支店長・営業所長)】

①建設業許可申請書・変更届出書(経験年数分)

 

この申請書類で登録されていることが必要です。

 

【執行役員であった場合】
執行役員であった場合、基本的に法人の役員と同じ書類が必要です。

また、それとは別に、組織図や権限の委譲を決議した取締役会議事録などが必要となります。

限られたケースでなければ認められませんし、行政庁への事前の打診が必須です。

信頼できる専門家に相談することをおすすめします。

 

B 経験した業種を証明するもの(期間分)

いよいよ申請希望者のほとんどが頭を抱える確認資料の登場です。

この確認資料が準備できれば、経管はもう目の前です。

「経験業種の証明」は、(a)書類を集めることと、(b)当時の使用者に証明してもらうこと、の2つが必要です。

(a)書類を集めること

岡山県の場合、「経験業種を証明」する確認資料は、原則として「契約書等」だけです。

在籍した企業が許可を持っていたかどうかに関係なく、「契約書等」で証明しなければいけません。

なぜかというと、「許可を持っているだけで工事の実績がほとんどない」「建材の販売会社で取付け実績が年に数件」などの事例があり、工事実績を確認する必要があるからです。

※他の自治体では、在籍した企業が許可業者の場合、「許可通知書」や「確定申告書」などを確認資料として認めてくれるところもあります。

次の①から③のいずれかの書類を、必要な期間分集めなくてはいけません。

①工事請負契約書(原本)

 

②注文書(原本)+工事請書(写し)

「注文書」と「工事請書」はセットでそろっていることが必要です。

※「注文書」には相手先の押印が、「工事請書」には印紙と消印、押印が必要です。

 

③請求書(控え)+通帳

「請求書」は自社で作成する書類ですから、ある意味後付けで作成することもできます。

そのため、第三者が作成した書類として金融機関が作成した「通帳」「取引明細書」などの取引記録で入金が確認できることが必要です。(領収書はNGです)

 

岡山県の場合、「契約書等」の原本が四半期(3か月)ごとに1枚以上必要となります。

1年分認めてもらうには、4枚以上の「契約書等」が要るということですね。

また、原則として「契約書等」での証明となっているため、すでに廃業した業者での経験であっても「契約書等」がないと経管になれません。

 

契約書等がないと無理?

もし、あなたが許可業者で経験を得たという場合、その業者は「経営事項審査(経審)」を受けてなかったでしょうか?

もし「経審」を受けていたのであれば、経審の申請書類の副本(控え)を持っているはずです。

必要な期間分の経審の申請書類がそろえば、岡山県では経管が認められる可能性”大”です!

ぜひ、確認してみてください。

 

(b)当時の使用者の証明

許可申請書の中に「経営業務の管理責任者証明書:様式七号」という書類があります。

この書類に、当時の使用者から証明(押印)を受けることが必要です。

 

他社での経験の場合、その会社の代表者や当時の上司などに証明(押印)してもらえないと経管になれません。

「すでに廃業した業者の場合はどうなるんだ?」という方もいますよね。

この場合は、その当時から営業を行っている同業他者に証明(押印)してもらうことになります。

また、個人事業主として自営していた経験は、岡山県の場合、自分で証明することが認められません。

廃業の場合と同じように、同業他者の証明(押印)が必要です。

※他の自治体では、正当な理由があれば「自己証明」を認めるところもあります。

 

経管が難しい一番の理由

ここまで読んでみてどんな感想を持ったでしょうか?

「やはり大変」となりますよね。

しかし、経管になるのが難しい一番の理由は、「書類が残ってない!」ということなのです。

 

経営されてる方なら分かってもらえると思いますが、税理士さんに言われた書類以外はふつう残ってないですよね。

というか、「書類を置いとくスペースがどこにあるんじゃ~」と、大体なります。

建設業許可をめざすのなら「自分の書類は何があっても捨てない」「他社の書類もできる限り残してもらうようにお願いする」という心得が必要かもしれません。

書類、大事です!

 

まとめ

前編と今回で、「経営業務の管理責任者」を確認しました。

前編はこちら

👉経営業務の管理責任者の要件|建設業許可で最大のヤマ

 

なぜ、建設業許可において申請希望者のほとんどが頭を抱えるのか、をお分かりいただけたかと思います。

まずは「経営者の立場で5年以上の経営経験を持つ」という要件のハードルが高いということが1つの理由でした。

さらに、これを証明するための確認資料、特に「契約書等」の書類を期間分そろえるのが大変ということがもう1つの理由です。

この2つの大きなヤマを越えるための、いろんな可能性について説明してきました。

参考にしていただき、ぜひ経管に辿り着いてください。

 

ひょっとしたら「この記事を読んでみたけど無理そうだな」という結論になった方がいるかもしれません。

しかし、建設業許可を簡単にあきらめるわけにはいきません。

建設業許可を目指すみなさんには、さまざまな背景があり、さまざまな事情や経験、書類があるわけです。

たとえば、「右側から見たら要件に合わないけど、左側から見るとなんとかなりそうだ」ということが実際にあります。

また、「Aの書類そのものはないけど、A’の書類があるからこれで認めてもらう」ということもあります。

ですから、自分の判断だけで許可をあきらめることはやめましょう。

あきらめる前に一度、信頼のおける行政書士に相談することをおすすめします。

ぜひ、建設業許可を手にしてください。

 

建設業許可について他にもくわしく解説しています。

ぜひご覧ください。

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