建設業許可|取るための知識

経営業務の管理責任者の要件|建設業許可で最大のヤマ

もしかするとあなたは今、「建設業許可が欲しいんだけど、経管がががが…」と思っているかもしれません。

経営業務の管理責任者、略して「経管(けいかん)」(以後、経管と呼びます)は、

建設業許可申請において一番重要であり、申請希望者のほとんどが頭を抱える問題かと思います。

 

「何がそんなに難しいんじゃろ?」とあなたは思われたかもしれませんが、理由は2つ

・求められる要件のハードルが高い

・更にそれを証明する書類を集めることが大変

「だからどう大変なんじゃ?」と思われたのなら、この記事をすべて読めば解決できます。

 

ここでは経営業務の管理責任者が必要な理由から始まり、その要件、具体例等を分かりやすく丁寧に説明しています。

あなたが建設業の許可を取得したいのであれば、ぜひ一読してください、損はさせません。

 

「経営業務の管理責任者の要件」の徹底解説です。

 

許可要件を知りたい方は、こちらもあわせてお読みください。

👉専任技術者の要件|建設業許可のもう一つのヤマ

👉欠格要件の完全ガイド|建設業の許可・取消では要注意

👉誠実性の要件について|建設業許可

👉財産的基礎要件(金銭的信用)について|建設業許可

 

なぜ建設業許可では経営経験が求められる?

経管とは、①会社の常勤の役員で、②建設業における十分な経営経験を持つ人、のことをいいます。

要するに建設業の「経営のプロ」です。

このように許可要件に経営の経験が必要とされるのは、鉄道会社などを除いてほとんどありません。

 

なぜかというと建設業者が簡単につぶれてもらっては困る、ということなのです。

建設業者が倒産するとその影響が大きく、連鎖倒産につながる危険があるためです。

建設業は、1件ごとの工事金額が大きく、自社の作業員や下請など多くの人と工程を管理する必要があり、注文者や納入業者など取引先も多く関わってきます。

また、これ以外にも資金繰りや完成後の欠陥に対する責任があり、建設業者にはこれらをこなせる経営者の能力が求められます。

 

経営業務の管理責任者の要件

経管の要件をクリアするための全体像

経管にたどり着くには、次の3つを乗り越えなければなりません。

(ⅰ)常勤の役員であること

(ⅱ)建設業における十分な経営経験を持っていること

(ⅲ)上記の(ⅰ)、(ⅱ)を証明できる書類を集められること

(ⅱ)の「建設業における十分な経営経験」を持っているかどうか、そして、(ⅲ)の書類が揃えられるかがカギとなります。

 

(ⅰ)常勤の役員とは

経管となるためには、(許可を申請する企業で)現在、「常勤の役員」として勤務していることが大前提です。

 

「役員」とは、法人・個人それぞれ次の地位にあることをいいます。

【法人】・・・役員(取締役・執行役・業務執行役員)である

役員に執行役員、監査役、会計参与、監事などは含まれないので注意してください。

【個人】・・・個人事業主本人または支配人である

 

※常勤に該当しないケース(経管として認めてもらえません)

・住所が勤務する営業所から離れすぎていて常識的に通勤が不可能である

・他社の常勤役員である

・他社の経管や専任技術者である

・他社の宅地建物取引士や管理建築士である

・個人事業主として事業を行っている

※宅地建物取引士や管理建築士を、自社の主たる営業所で兼務する場合は認められます。

※同一企業内の主たる営業所の場合は、経管と専任技術者を兼務することができます。

専任技術者についてはこちらで確認ください

👉専任技術者の要件|建設業許可のもう一つのヤマ

 

(ⅱ)建設業における十分な経営経験とは

この建設業における経営経験とは、建設業で経営業務を総合的に管理した経験だとされています。

具体的には、工事ごとに行う資金調達、資材の購入、技術者や労働者の手配、下請の手配などの経験をいいます。

 

とにかく一定の年数の経験が必要なので、専任技術者のように「国家資格」で経管になることはできません。

 

経管に必要な経験年数は何年?

法人の場合「常勤の役員」のうちの1人が、個人の場合「事業主本人又は支配人」のうちの1人が、①から⑥の6つの要件のどれかに該当しないといけません。

 

【許可を受けようとする業種での経験】

①「許可を受けようとする業種」に関して、「法人の役員、個人事業主又は支配人、令3条の使用人」としての経験を「5年以上」持っていること。

 

②「許可を受けようとする業種」に関して、「執行役員」としての経験を「5年以上」持っていること。

 

③「許可を受けようとする業種」に関して、「経営業務を補佐した経験」を「6年以上」持っていること。

・・・①から③までの場合、その「許可を受けようとする1業種」だけで経管となれます。

例えば、「土木工事業」で経管になるには、「土木工事業」での経営経験が5年以上必要ということです。

※ただし、③の「経営業務を補佐した経験」の場合は6年以上必要です。

 

【許可を受けようとする業種以外の業種での経験】

④「許可を受けようとする業種以外の業種」に関して、「法人の役員、個人事業主又は支配人、令3条の使用人」としての経験を6年以上持っていること。

 

⑤「許可を受けようとする業種以外の業種」に関して、「執行役員」としての経験を「6年以上」持っていること。

・・・④⑤の場合、「すべての業種」で経管になれます。

例えば、「土木工事業」で6年以上の経営経験があれば、「土木工事業」はもちろんですが、経験がない「建築工事業」や他のすべての業種で経管になることができます。

 

 

【その他】

⑥国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者

海外の建設現場で活躍された方、海外で学位や資格を取得された方は該当の可能性があります。

くわしくはこちらを確認ください

👉建設業に関する外国での経験等を有する者の認定について(大臣認定):国土交通省HP

 

※「通算しても5年の経営経験しかないんじゃ」という場合でも、1業種だけ許可を取って1年間営業し、1年後に満を持して全業種の経管となることもできます。

この場合、「業種追加」という手続きで申請を行います。

費用と手間が余分にかかりますが、こんな方法もあります。

業種追加はこちらをチェック

👉業種追加と許可の一本化|建設業許可

 

※「執行役員」と「経営業務を補佐した経験」で経管が認められるケースは実はあまり多くありません。

この2つの経験は、規模の大きな建設業者向けに、特例的に認められたものです。

 

従業員が数十人規模の建設業者がこれらのケースで経管をクリアするのはとてもキビシイとお考えください。

※逆に、中堅以上の建設会社で部長以上の経験がある方にはチャンスがあります。

 

また、個人事業主が死亡した場合などでは、救済として経営を補佐した家族専従者(配偶者・子)を対象として認められることがあります。

ぜひ専門家に相談してみてください。

 

【用語の解説】

法人の役員 取締役、執行役、業務執行社員など(監査役や会計参与での経験は認められません)
支配人 支配人として商業登記された人で、事業主と同じ権限を持つ人のことです
令3条の使用人 本社以外の支店や営業所などを代表する権限を持ち、令3条の使用人として登録された人をいいます

支店長、支社長、営業所長などの肩書を持っていることが多いです

(支店長や営業所長などを歴任された方は、所属した会社に確認することをおすすめします)

執行役員 役員ではなく役員に次ぐ地位にあって、取締役会から経営執行の権限を受けた人をいいます
経営業務を補佐した経験 会社の役員、個人事業主や令3条使用人などの営業取引上対外的に責任を持つ地位に次ぐ職制上の地位にある人をいいます

 

経験年数の特例について

経管に必要となる経営経験の年数の計算には特例が用意されてます。

ア 許可業種での「執行役員」と「役員」の経験を通算できます。

 

例1)「石工事」の「執行役員」での経験が3年+「石工事」の「役員」での経験が2年で、「石工事業」の経管になれます。

 

イ 「経営業務を補佐した経験」には、「役員」と「執行役員」の経験が加算できます。合わせて6年以上であれば要件を満たします。

 

例2)「建築工事」を「補佐した経験」が5年+「建築工事」での「役員」経験が1年で、「建築工事」の経管となることができます。

例3)「建築工事」を「補佐した経験」が4年+「管工事」での「役員」経験が2年で、「建築工事業」の経管になれます。

※この場合、「管工事」の経管にはなれません。

 

ウ 「役員」経験には、他の業種での「役員」経験と同業種の「執行役員」の経験を加算できます。

例4)「土木工事」での「役員」経験が3年+「管工事」での「役員」経験が3年で、全業種の経管になれます。

例5)「建築工事」での「役員」経験が2年+「管工事」での「執行役員」経験が2年+「管工事」での「役員」経験が2年で、全業種の経管になれます。

 

※経験した年数は、連続していなくても大丈夫です。通算して5年または6年以上あれば認められます。

例)「屋根工事」を平成24年から平成27年の4年間、平成30年の1年間経験した場合、通算して5年となり「屋根工事業」の経管となれます。

 

また、こんな場合も認められます。

・経営経験はいつの経験でもかまいません。(昔の経験もOK)

 

・申請する企業での経験だけでなく、他社での経験や個人事業主としての経験でもOKです。

それぞれの経験は通算することができます。

例)A社取締役の経験3年+B社取締役の経験1年+個人事業主の経験2年を合わせて6年とする

 

・許可業者での経験だけじゃなく、許可を持たない業者での経験も認められます。

 

いかがでしょうか?

ここまで読んでみて「経管の要件に該当したよ」という方は、あとは、証明する書類が準備できるかどうかです。

あと一歩です。

(ⅰ)「常勤の役員」を証明する書類

  • 健康保険被保険者証
  • 履歴事項全部証明書

(ⅱ)「経営業務の管理責任者としての経験」を証明する書類

  • 必要な年数の「契約書、注文書・工事請書、請求書・通帳」など
  • 必要な年数の「厚生年金被保険者記録照会回答票」など

くわしくはこちらをご覧ください。

👉経営業務の管理責任者に必要な確認資料|建設業許可

 

「まだ経管の要件がクリアできてないよ」という方は、まだまだあきらめずに、とにかく最後まで読んでください。

 

経管の該当者がいない場合の対処方法

ここまで読んでみて「まだ経管の候補者が見つからんのじゃけど・・・」というあなた。

あきらめるのは早いです。

まだ2つの方法が残されています。

 

経管の要件を満たす人を外部から迎え入れる

自社に経管がいないときは、他社から経管を迎え入れることができます。

周りにこんな方がいませんか?

・身内(叔父さんとか)に、以前個人で建設業を営業していた、又は建設会社の役員をしていた人がいる

・取引先の建設会社が世代交代したが、会長が暇そうにしている

・昔世話になった親方が孫の世話ばかりしている

・取引先の建設会社の引退した役員さんに年賀状を送っている

 

もちろん、「経管」として迎えるのですから誰でもいいわけではありません。

しかし、実際に外部から招へいして立ち上げ、軌道に乗せている建設業者さんも少なくありません。

ぜひ検討してみてください。

 

注意点

外部から「経管」を迎え入れる場合に、注意すべき点を確認しておきましょう。

ア 「常勤の役員」を満たすこと

  • 自社の「取締役」として法務局で役員登記を行うこと・・・「履歴事項全部証明書」
  • 「社会保険」に加入させること・・・「健康保険証」

※個人の場合、「支配人」の登記と「社会保険」が必要です。

 

イ 「経営業務の管理責任者としての経験」を証明する書類が用意できるか確認する

  • 必要な年数の「契約書、注文書・工事請書、請求書・通帳」など
  • 必要な年数の「厚生年金被保険者記録照会回答票」など

 

ウ 役員報酬が一定の金額以上であること

一定の金額については、自治体によって扱いが大きく異なります。確認をお願いします。

※岡山県の場合、月10万円を超えるぐらいであれば認められます。

他の自治体では、最低賃金以上(月15万円以上)というところもあります。

 

エ 許可後の注意点「許可が下りた後も経管として常勤を続けること」

許可が下りた後も、取締役として社会保険に加入した状態で常勤してもらわないといけません。

なぜかというと「経管」は建設業許可の要件なので、1日でも経管がいない状態になると、即許可取消となってしまいます。

死亡や長期の入院などでも許可取消となりますので注意しましょう。

 

必要な経営経験の年数を満たすまで”待つ”

もう1つは、時間が過ぎるのを”待つ”という方法です。

そんなにがっかりしないでください。

とらえ方の問題だと思うのですが、ただ”待つ”ということではなく、”準備する時間が与えられた”と考えられないでしょうか。

 

「建設業で独立する」とは言葉で言うのは簡単ですが、ご承知の通り周到な準備が必要となります。

営業、資金、人材、資材・機械・工具・車などの調達、営業所の確保・・・他にもあります。

万全なスタートのために、”待つ”のも選択肢の1つではないでしょうか?

 

「名義貸し」には手を出さない

いろいろ手を尽くしたけどやっぱり経管がいない。

こんなときに気を付けたいのが「名義貸し」の利用です。

経管の名義貸しによって、罰則を受けたり許可の取消処分を受けることになります。

この場合、会社と在籍する全ての役員は、その後5年間許可の再取得ができません。

下手をすると廃業です。

経管はデータベースで情報が共有されていますので二重登録はすぐにわかってしまいます。

 

まとめ

建設業許可でみんなが頭を抱える、経管の要件を確認しました。

 

建設業で「経営者の立場」として「5年以上の経営経験」をいかに積むかが肝となります。

「経営の経験」は簡単にできる経験ではないですし、「5年以上」というのはそんなに短い期間ではありません。

「なんでそんなに難しいんじゃ?」の理由の1つはわかっていただけたかと思います。

 

実はもう1つ理由があります。

それは、経管を証明するための書類を集めるのがとても大変ということです。

ぜひ、続けてこちらの記事も読んでください。

👉経営業務の管理責任者に必要な確認資料|建設業許可

この2つさえ乗り越えれば、建設業許可の光は見えてきます。

 

まずは現状で経管になることができないか、この記事を読み返してあらゆる可能性を探ってみてください。

むずかしい場合は、外部から経管を迎えることができないか検討してみましょう。

自分でも気づいていないどこかに、助けてくれる誰かがいるかもしれません。

そして、どうしてもそんな人が浮かばないときには、頼りになる行政書士に相談するのもアリです。

意外な解決策が見つかるかもしれません。

 

あなたが無事に建設業許可を手にすることを願っています。

 

ほかにも建設業許可をくわしく解説しています。

合わせてお読みください。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉建設業許可の29業種をわかりやすく解説

👉一般建設業と特定建設業はどう違うのか|建設業許可

👉建設業法の処分・罰則を理解する完全ガイド