建設業法の知識

建設業者のための新型コロナ対策(会社の対応編)

※2020年4月26日時点での情報を掲載しております。

新しい情報が発表されましたら、随時内容を更新いたします。

 

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、政府から緊急事態宣言が出されました。

建設業界にもさまざまな影響が出ているようです。

なんとしても事業を継続し、この困難を乗り越えなくてはなりません。

 

そこで今回は、社内での新型コロナ対策について確認いたします。

もし従業員に感染者が出た場合、休業手当を支給しなければならないのか。

また、発熱や風邪の症状がある者を休ませることはできるのか。

判断に迷いがちな事態への対応について解説いたします。

 

こちらで、ほかにも新型コロナの対策や支援策をご紹介しております。

👉建設業者のための新型コロナ対策(資金繰り編)

 

社内における新型コロナ対策

安全配慮義務

事業者には職場において、従業員の健康と安全を守ることができるよう必要な配慮を行う義務があります。

これを安全配慮義務といいます。

新型コロナウイルス感染症に対しても、事業者として対策を講じることが求められるということです。

できるだけ、次の事項について社内で取り決めを行い、周知するようにしておいてください。

・従業員が発症した場合における社内の連絡・報告体制の確立

・従業員の体調に関する状況の把握(体調報告、体温報告など)

・濃厚接触を避ける措置(30分以上の会議をさける、会議の参加者は一定距離を保つ(2m以上)、定期的な室内の換気)

・手洗い・うがい・アルコール消毒の奨励

・咳エチケットの周知及びマスク着用の要請

・体調不良の従業員に対する自宅待機の措置など

 

従業員が感染した場合

従業員本人が新型コロナウイルスに感染した場合、本人は休業することになります。

都道府県知事が就業制限を行うことにより従業員は休業します。

ですから、休業手当を支給する必要はありません。

この場合、従業員の方は健康保険の傷病手当金の支給を受けることになります。

連続して休業した4日目以降について、直前12か月の平均標準報酬日額の2/3相当額が支給されます。

くわしくは 協会けんぽ:病気やケガで会社を休んだときを参照ください。

 

従業員の感染が疑われる場合

では次に、従業員に感染が疑われる場合の対応について確認します。

 

従業員本人に発熱やかぜの症状がある場合、家族に感染者が出た場合などが該当します。

これらの場合、就業規則にもとづいて出勤停止命令を出すことは可能です。

では、このようなとき休業手当を支給する必要があるのでしょうか。

 

休業手当を支給しなくていい場合

休業手当を支給する必要がない場合とは、次の2つの場合です。

①従業員の自主的な休業

②不可抗力による休業

 

①の従業員の自主的な休業の場合は、休業手当の支給は必要ありません。

一方、②の「不可抗力による休業」ですが、判断が難しい面があります。

新型コロナが「不可抗力」に該当するかどうかですが、判断基準として2つのポイントがあります。

ⅰ)その原因が事業の外部より発生した事故であること

ⅱ)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

ⅰ)は問題なく該当すると思います。

ⅱ)に該当するにはどうすればいいのかですが、次のように説明されます。

具体的には、自宅勤務や他の業務に就かせるなどの方法を十分検討し、休業の回避について最善の努力をすることが必要です。

建設業者の場合、ハードルが高い基準だと考えられます。

<休業手当を支給するという選択>

一般的には、現状において、新型コロナウイルス感染症の拡大防止が強く求められ、緊急事態宣言が出されています。

このような中で、事業主が自主的に休業し、労働者を休業させる場合については、経済上の理由により事業の縮小を余儀なくされたものとして、雇用調整助成金の助成対象となり得ます。

ですから、休業手当を支給した上で、雇用調整助成金を受け取ることを選択肢とすることも考えられます。

 

休業手当を支給する必要がある場合

一方で、休業手当を支払う必要があるのは、使用者の責めに帰すべき事由に該当する場合です。

使用者の責めに帰すべき事由とは、不可抗力ではなく会社の責任で休業したことをいいます。

たとえば、発熱などの症状があることのみをもって、一律にその部署の全員を自宅待機にさせるようなケースです。

このようなケースでは、使用者の自主的な判断で休業させたと判断され、休業手当の支給が必要となります。

平均賃金の60%以上を支払わなければならないと決められています。

 

一律に年次有給休暇を取得させてもいいのか

感染の疑いがある労働者について、一律に年次有給休暇を取らせ、一斉休業させてもいいのでしょうか。

こたえはNOです。

年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものです。

使用者が一方的に取得させることはできません。

従業員が自主的に休業するときに、従業員みずから年次有給休暇を使うことは問題ありません。

 

小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援

従業員の方が、

①感染拡大防止を目的とした

②小学校等の臨時休校のため

③休職する保護者である労働者の

④所得の減少に対する

支援策です。

正規・非正規(パート・アルバイト)を問いません。

また、年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対して支払われます。

支払った賃金の全額が助成されますが、日額8,330円が上限となっています。

※年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の額を支払うことが必要です。

くわしくはこちらをご覧ください。👉厚生労働省:小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました

 

その他

新型コロナウイルスに関するその他の情報をご紹介します。

 

労災が適用できるのか

業務や通勤に起因して発症したものである場合には、労災保険給付の対象となります。

くわしくは、事業場を管轄する労働基準監督署にご相談ください。

 

健康診断の延期はできるのか

労働者の雇入れ時や、1年以内ごとに1回定期に一般健康診断を行うことが義務付けられています。

また、有害な業務に従事する労働者に、じん肺検診などの特殊健康診断を行う必要があります。

これらの健康診断についても、感染拡大防止のため令和2年6月までの間、延期することができます。

 

テレワーク導入支援策

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない働き方のことです。

建設業界でもすでにテレワークを導入している企業があるようです。

テレワークは「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス」の3つに分けられます。

モバイルワークは、現場や移動中など場所や時間にとらわれない働き方をいいます。

サテライトオフィスは、本社などの通常の事務所以外の場所で働くことをいいます。

コールセンターなどがイメージしやすいと思います。

 

建設業では、専任が必要とされる専任技術者などには、テレワークの導入は難しいと考えられます。

一方、現場に配置される主任技術者などについては、モバイルワークの導入が可能であると思われます。

また、事務などの間接業務には、在宅勤務が可能でしょう。

アフターコロナも見据えて、下記の導入支援策の活用を検討しても良いと思われます。

 

 

まとめ

新型コロナウイルスの社内における対応について確認しました。

まずは、事業者としての安全配慮義務を果たすため、社内にコロナ対策の方針を周知しておきましょう。

そしてこの記事などを参考にしていただき、不測の事態に備えて対応を検討ください。

 

また、今回の緊急事態に対して、行政側もさまざまな対策や支援策を発表しています。

内容が十分でなかったり、対応が遅いということもありますが、使えるものも数多く用意されています。

まずは、事業を継続することが大事であると考えます。

自衛のため、支援策をしっかり活用していただきたいと思います。

力を合わせてこの難局をみんなで乗り越えましょう。

 

新型コロナ対策についてご紹介しています。

合わせてご覧ください。

👉建設業者のための新型コロナ対策(資金繰り編)

 

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