建設業法の知識

7/2追記アリ】建設業者のための新型コロナ対策(雇用調整助成金編)

※2020年7月2日時点での情報を掲載しております。新しい情報が発表されましたら、随時内容を更新いたします。

また、記事の内容には万全を期しておりますが、万一、この記事により損害等が生じた場合にも当事務所では責任を負いかねますので、予めご了承ください。

 

【※7/2追記】

令和2年6月12日に第2次補正予算が成立しました。

これに伴って、1人1日当たりの支給限度額が8,330円から「15,000円」に増額されております。

 

【※5/21追記】

令和2年5月20日から、従業員がおおむね20人以下の小規模事業者に向けて、手続きが簡単になっています。

書類の提出も、窓口、郵送、オンラインで行うことができるようです。

※5/21現在、オンライン申請はトラブルにより使えない状態です。

記事の最後に追記していますのでご確認ください。

小規模事業主に該当される方は、先に追記した内容を読んでください。

 

新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響が相当大きなものとなりそうです。

また、なかなか先が見えない状況でもありますし、混乱が長引くことを視野に入れた対策が必要だと考えます。

なんとしても事業を継続して、この困難を乗り越えなくてはなりません。

 

今回は、新型コロナ対策の中でも、人件費に関する支援策である雇用調整助成金をご紹介します。

ご紹介するのですが・・・、最初にみなさんにお伝えしておきます。

この制度、とても使い勝手の悪いものになっています。

あえて使い勝手が”悪い”と言っておきます。(上からで申し訳ありませんが・・・)

企業が負担した休業手当の一部しか補填されないし、手続きのハードルが高いです。

※支給限度額の上限が15,000円に増額されました。

また、20人以下の小規模事業者は手続きが簡素化されています。

いい方向に改善されてきました。

 

申請を受け付けてもらうまでにそれなりの時間がかかりますし、申請が受け付けられてから支給までに1か月以上はかかるようです。

※4月28日の報道で、5月中旬からのオンライン申請受付開始、申請から支給まで2週間程度を目標とすることが厚労省から発表されたとのことです。

 

さらに、社労士さんに申請の代行をお願いしても受けてもらえないことが多いようです。

(社会保険・労働保険関係の手続き代行は、社会保険労務士にしかできません。)

 

ですから、自力で申請する覚悟が必要です。

このように少し手続きが困難な状況にあることをご理解の上、先を読み進めてみてください。

では、新型コロナ対策における雇用調整助成金を確認しましょう。

 

建設業者のための新型コロナ対策をご紹介しています。合わせてご覧ください。

👉建設業者のための新型コロナ対策(資金繰り編)

👉建設業者のための新型コロナ対策(会社の対応編)

👉建設業者のための新型コロナ対策(持続化給付金編)

👉建設業者のための新型コロナ対策(税・社会保険編)

 

建設業許可についてもくわしく解説しています。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉建設業法の処分・罰則を理解する完全ガイド

👉決算変更届(決算報告)とは|建設業許可

 

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、景気の悪化により会社の業績に影響があった場合で、会社側が行った休業などの雇用調整に対して助成金が支給されるものです。

助成金を支給することにより、従業員の雇止めや解雇を防ぐことを目的とします。

新型コロナの影響によって業績が悪化し従業員を休業させた場合には、休業手当の一部が助成されるという制度です。

 

手続きの流れとして、従業員に休業手当を支給しておいて、あとから申請し助成金の支給を受けることになっています。

 

新型コロナ対策としての雇用調整助成金

新型コロナ対策の雇用調整助成金は、もともとの制度に比べ、支給要件が緩和されています。

いわゆる特例措置が実施されています。

もともとの制度は、社労士さんでさえほとんど申請したことがないという、たぐいまれな助成金だったようです。

 

特例措置の内容

特例措置の対象となるのは、令和2年4月1日から6月30日 →9月30日まで延長!の緊急対応期間に実施したものです。

※延長される可能性はあります。

特例措置の全体像を確認します。

※「👈重要!」以外は、さらっと確認するだけで大丈夫です。

 

対象となる事業者

支給対象となる事業主は、次の要件をクリアする必要があります。

①雇用保険の適用事業者

②新型コロナの影響を受けた法人・個人事業主👈重要!

③事業活動の縮小があった(売り上げの減少)👈重要!

④労使間の協定にもとづいて休業を実施した

コロナ対策では、事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象になります。

 

【事業活動の縮小とは】

③の事業活動の縮小を確認しておきます。

最近1か月間の売上高や生産量が、前年同月比で5%以上減少していることをいいます。

※前々年の同期や前年同月以外の月とくらべても構いません。とにかく5%以上減っていればOKです。

 

対象となる従業員

対象となるのは雇用保険の被保険者です。

退職が決まっている被保険者と日雇いの方は対象外です。

なお今回のコロナ対策では、被保険者以外の方も対象になります。(「緊急雇用安定助成金」という別の制度になり、手続きも別途必要です。)

 

対象となる「休業」とは

対象となる休業は、次の6つのすべてを満たすことが必要です。

①労使間の協定によるもの

②対象期間内に実施すること(※対象期間・・・事業主が指定した1年間の期間)

③休業等規模要件を満たしていること👈重要!

④休業手当の金額が、前3か月の平均賃金の6割以上であること👈重要!

⑤所定労働時間内に実施

⑥基本的に1日単位の休業であること

③の休業等規模要件は、下で説明しています。

④については、平均賃金の6割以上の休業手当を支給していないと、助成金の対象にならないのでご注意ください。

【休業等規模要件とは】

休業等規模要件では、1か月のうち休業した割合が、中小企業であれば1/40(大企業は1/30)以上になっていることが求められます。

次の式で計算します。

(休業を行ったのべ日数/所定労働のべ日数)

計算された数字が1/40(2.5%)以上でなければなりません。

たとえば、所定労働日数が22日(1日8時間)のとき、10人が1日ずつ休業する場合

休業を行ったのべ日数:10人×1日=10人日

所定労働のべ日数:10人×22日=220人日

10/220=1/22>1/40

∴1/40以上ですので要件をクリアします。

 

要するに、本来働くべき日数に対して、休んだ日数が1/40(2.5%)以上なくてはならないということです。

 

受給できる額は?

まずは、助成率を確認しましょう。

助成率
新型コロナ対策 新型コロナ対策(解雇等を行わない場合)
中小企業 4/5 9/10 (10/10に引き上げ)
大企業 2/3 3/4

ただし、1人の1日当たりの上限額が、日額8,330円 →日額15,000円に増額されました。👈重要!

※改正前に支給申請した方や支給決定を受けた方については、追加の申請は不要で差額が支給されます。

中小企業とは(建設業の場合)・・・資本金3億円以下または従業員数300人以下の企業

※4月25日に中小企業の助成を10割に引き上げる旨の発表が厚生労働省からありました。詳細は5月上旬をめどに発表される予定です。

【※5/21追記】

下記のとおり、①自粛要請により休業に協力した事業主については、休業手当の10/10助成されます。

②その他の事業主については、60%までは9/10助成、60%以上の部分は10/10助成されます。

 

 

受給できる額

次に助成金として受給できる額を確認します。

たとえば助成率が9/10である場合、みなさんは当然、従業員に支払った休業手当の9/10が助成されると思いますよね。

ところがそうではないのです。

受給できる額は、前年度に支払った給与の総額から、1人当たりの平均給与額を計算し、その額に助成率を乗じた額となっています。

さらに受給できる額には上限が決められていて、日額8,330円 →日額15,000円となっています。

これを年収ベースに直すと、約220万円 →約400万円です。

要するに助成率が10/10になったとしても、この上限額を超える部分は企業の持ち出しになるということです。

この点をしっかりとご理解ください。

 

申請はいつ行うのか

それでは申請はいつ行えばよいのでしょうか。

申請は1か月(給与の締め日までの1か月)ごとに行いますが、緊急対応期間(4月1日~6月30日 →9月30日まで延長されました )はまとめて申請してもいいことになっています。

 

そして申請期限は、1か月ごとに申請するときには、給与の締め日の翌日から2か月以内です。

まとめて申請するときは、最後の給与の締め日の翌日から2か月以内となります。

 

受給の手続き

受給の手続きの流れ

受給の手続きの流れは次のようになります。

厚生労働省:「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)より引用

最初にも言いましたが、休業を実施した後に申請をすることになります。

新型コロナの特例として、計画届の提出は、支給申請と同時で構いません。

また、2回目以降の申請には、計画届は不要です。

【※5/21追記】

小規模事業主以外の方についても、様式第1号(1) 休業等実施計画(変更)届は、令和2年5月19日から提出不要になりました。

こちらをご確認ください。

👉厚生労働省:雇用調整助成金の様式ダウンロード

(画面を下方向にスクロールしてください)

 

支給申請に必要な書類

支給申請に必要な書類は次のとおりです。

 

(黄色のわく)は、作成する申請書類などです。

(青色のわく)は、添付する確認書類です。

書類の記載例についてはこちらをご覧ください。👉「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)P12以降

 

申請書類のなかで特に大事な2つの書類を確認しておきます。

ア 様式特第9号「休業・教育訓練実績一覧表」

イ 様式特第8号「雇用調整助成金助成額算定書」

 

ア 様式特第9号「休業・教育訓練実績一覧表」

 

各人ごとに、月間所定労働日数、全日休業、短時間休業、教育訓練の日数などを記入します。

そして、それぞれを小計します。

 

イ 様式特第8号「雇用調整助成金助成額算定書」

青色のわくで囲った「(1)前年度1年間の・・賃金総額」と

黄色のわくで囲った「(2)前年度1年間・・雇用保険被保険者数」は、

前年の労働保険料申告書の基礎資料である「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」から数字を持ってきます。

できるだけ間違いのないように書類を作成し申請しましょう。

 

【※5/21追記】小規模事業主用「支給申請マニュアル」の公表

小規模事業主については、申請書類が大幅に減り、申請が簡単になっています。

ぜひ、積極的にご活用ください。

小規模事業主とは、従業員が概ね20人以下の会社や個人事業主の方を対象としています。

ポイントは3つです。

①申請書類が4枚だけになりました。

②添付書類も4種類だけです。

③書類の提出方法が、窓口・郵送・オンラインの3種類に増えました。

 

①申請書類が4枚だけになりました

申請書類は、次の4枚の書類だけになっています。

かなりスッキリしました。

これなら頑張れそうです。

ⅰ)雇用調整助成金 支給申請書(様式特小第1号)

ⅱ)助成率確認票(様式特小第1号別紙)

ⅲ)休業実績一覧表(様式特小第2号)

ⅳ)支給要件確認申立書(様式特小第3号)

ⅰ)雇用調整助成金 支給申請書(様式特小第1号)

ⅱ)助成率確認票(様式特小第1号別紙)

ⅲ)休業実績一覧表(様式特小第2号)

ⅳ)支給要件確認申立書(様式特小第3号)

※中段の「1から13までの項目を確認し・・・」のところは、「はい」にならないと助成を受けられないと考えられます。

 

この4枚の書類を作成するときには、下記のサイトから入力フォームをダウンロードしてください。

厚生労働省:雇用調整助成金「支給申請書」

※【雇用保険被保険者】-(支給申請書)-〇パソコンを使って申請される方向けをクリックしてください。

 

②添付書類も4種類だけです

添付書類も4種類だけです。

ⅰ)比較した月の売上などがわかる書類

(売上簿、レジの月次集計、収入簿など)

ⅱ)休業させた日や時間がわかる書類

(タイムカード、出勤簿、シフト表など)

ⅲ)休業手当や賃金の額がわかる書類

(給与明細の写しや控え、賃金台帳など)

ⅳ)(役員等がいる場合)役員名簿

(性別・生年月日が入っているもの)

※初回の申請時のみ、通帳のコピーも添付するようにしておきましょう。

 

③書類の提出方法が、窓口・郵送・オンラインの3種類に増えました

今までは、かならず窓口に出向く必要がありましたが、郵送とオンラインで書類を提出することができるようになりました。

郵送先はこちらの「雇用関係助成金郵送受付窓口一覧」からご確認ください。

厚生労働省:助成金のお問い合わせ先・申請先

オンライン申請については、7/2現在トラブルのため受付が中止されています。

※ご不明な点がありましたら、都道府県労働局やハローワークにお問い合わせください。

 

【※6/12第2次補正予算による改正内容】

1人1日当たりの助成額の支給限度額が、日額8,330円から日額15,000円に増額されました!

年収ベースでは、約220万円から約400万円の方がカバーできるようになっています。

特に「中小企業」にとっては、かなり使い勝手がよくなっております。

ぜひ、申請を検討してみてください。

 

まとめ

厚生労働省によりますと、感染拡大に伴い制度の拡充を始めた今年2月14日以降、4月24日までの間に申請は2541件あり、このうち支給が決まったのは282件だということです。

※6月26日までの累計で、申請件数は281,466件に、支給決定件数が179,452件に、支給決定額が1,362億円とかなり増えてきてますね。

 

新型コロナ対策としての雇用調整助成金については、次の問題点が指摘されています。

・申請手続きが複雑であり困難であること(小規模事業主については改善されています)

・社労士が申請代行を受けてくれない(社労士が連帯責任を負わされることも原因と思われる)

オンライン申請が認められない

※郵送申請、オンライン申請が認められています。(7/2時点でオンライン申請は停止されています)

・5%以上の売り上げの減少が必要であること

・支給した休業手当と助成額に差がある場合が多く、事業者の負担が少なくないこと

上限額が8,330円(年収200万円程度) →上限額が15,000円(年収約400万円)に増額!

・申請から実際の受給までに相当時間がかかる(約1か月以上)

※4/28の報道で、支給までの期間を2週間程度に短縮するとのこと

一部の問題点については改善される見込みですが、まだまだ使い勝手がいいとは言えないと思います。

上限額の撤廃について与党幹部からも要望が出ていますので、改善を期待しましょう。

※かなり改善されました。

 

今回の新型コロナ支援策には、融資制度や持続化給付金なども用意されています。

👉建設業者のための新型コロナ対策(資金繰り編)

👉建設業者のための新型コロナ対策(会社の対応編)

これらを最大限に活用して、ぜひ事業を継続していただきたいと思います。

 

建設技業許可についてくわしく解説しています。

合わせてご覧ください。

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