建設業法の知識

建設業者のための新型コロナ対策(税・社会保険編)

※2020年5月1日時点での情報を掲載しております。新しい情報が発表されましたら、随時内容を更新いたします。

また、記事の内容には万全を期しておりますが、万一、この記事により損害等が生じた場合にも当事務所では責任を負いかねますので、予めご了承ください。

 

今回は、各種の税金や社会保険制度にかんする申告・納付期限の延長、納税猶予、減免などについて確認します。

税や社会保険などの公的負担については、残念ながら猶予、すなわち支払いの延期(繰り延べ)が対策のメインとなっています。

大胆に「減額」や「免除」となれば効果的だと思うのですが・・・

そうは言っても、使える制度はしっかり活用して、アフターコロナに向け体力を温存しておきましょう。

 

建設業者などの事業者向けで減免の対象となるのは固定資産税など限られたものだけです。

また、納税猶予も資金的に余裕がある方には認められず、本当に苦しい場合にだけ利用できる制度設計となっています。

一方で申告期限・納付期限の延長は柔軟に対応されているようですので、税理士さんなどにご相談ください。

 

この難局を何としても乗り越えなければなりません。

それではさっそく確認しましょう。

 

建設業許可についてくわしく解説していますので、ぜひご覧ください。

👉決算変更届(決算報告)とは|建設業許可

👉許可の有効期限と更新申請について|建設業許可

👉建設業者の代表者の変更|建設業許可

👉建設業法の処分・罰則を理解する完全ガイド

 

国税・地方税の申告・納付期限の延長

個人のための申告・納付期限の延長

個人の方がおこなう所得税・消費税・贈与税の確定申告と納付について、期限の延長が認められています。

新型コロナの影響で、外出を控えるなど期限内に申告することが困難な場合、期限を区切らず4/17以降も柔軟に受け付けることになっています。

当初、3/16(消費税は3/31)であった期限が、いったん4/16に延長されましたが、新型コロナの影響が続いているため再延期されています。

 

法人のための申告・納付期限の延長

法人がおこなう法人税・消費税、法人事業税・法人市県民税の申告・納付について、期限の延長が認められています。

 

新型コロナの影響により、期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、個別延長が認められます。

国、都道府県、市区町村とも同じ取扱いとなっています。

では、概要を確認します。

 

申告・納付期限はいつになるのか

申告・納付ができないやむを得ない理由がやんだ⽇から2か月以内の⽇を指定して、申告・納付期限が延⻑されることになります。

 

どのような手続きが必要か

特別に申請書の提出などは必要ありません。

申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延⻑申請」である旨を付記するだけです。

 

国税・地方税の納税猶予

ここからは、国税・地方税の納税猶予について確認します。

納税猶予についても国、都道府県、市区町村ともほぼ同じ取扱いがなされるようです。

ただし、納税猶予については早めに事前相談するようにして下さい。

納付期限が迫っているタイミングですと、猶予の決定が間に合わないこともあるようです。

国税については、所轄の国税局の「国税局猶予相談センター」に電話でご相談ください。

👉国税局猶予相談センターのご案内

 

特例制度による納税猶予

新型コロナの影響で、事業による売り上げが減少した方は、1年間国税の納付が猶予されます。

特例制度では、担保は不要で、延滞税(利息のようなもの)もかかりません。

では、特例による納税猶予について、対象者、対象となる税目、申請手続きを確認します。

 

対象者

次の2つのどちらも満たす方が対象になります。

ア 新型コロナの影響により、令和2年2月以降の任意の期間において、収入が前年同期比でおおむね20%以上減少していること

・現状で20%以上の減少がなくても、今後悪化が見込まれるときは総合的に判断されます。

該当する方は、国税局猶予相談センターに相談してみてください。

・収入の減少があれば黒字であっても特例による猶予を受けることができます。

・前年同期の実績がない場合は、数か月の平均や令和2年1月までの任意の期間でも認められるようです。

イ 一時に納税を行うことが困難であること

 

対象となる税目

ア 令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来するほぼすべての税目が対象となります。

イ アのうち、すでに納期限が過ぎているものも、特例が利用できます。

※国税・・・法人税、消費税、申告所得税などほぼすべての税目

※地方税・・・法人事業税・市県民税、個人住民税、固定資産税、事業所税などほぼすべての税目

 

申請手続き

次の時期のうち、いずれか遅い日までに申請が必要です。

ⅰ)令和2年6月30日

ⅱ)納期限

申請書のほか、収入や現預金の状況がわかる資料の提出が必要です。

※提出が難しい場合は、口頭で確認されます。

なお、地方税の申請の際に国税の猶予許可通知書を添付すれば、記載内容をかなり省略できるようです。

 

社会保険・労働保険の特例納付猶予

では続けて社会保険・労働保険の特例による納付猶予の制度を確認します。

社会保険、労働保険ともに、国税・地方税の納税猶予と同じ取扱いとなっています。

対象となるのは、

①収入が前年同期比20%以上減少した場合で

②一時に納付できない方

となっています。

該当する方は、社会保険についてはお近くの年金事務所に、労働保険については管轄の都道府県労働局にご相談ください。

 

欠損金の繰戻し還付(法人税)

ここからは、法人税の欠損金の繰戻しによる還付について確認します。

前年度は黒字だった法人が、経営悪化などで今年度赤字になった場合、前年度に納付した法人税の還付を受けることができます。

これを欠損金の繰戻し還付といいます。

新型コロナの影響で損失が発生した場合、特例措置が設けられています。

・適用対象が拡大:資本金1億円超10億円以下の中堅企業も対象となる

※もともとの適用対象は、資本金1億円以下の小規模事業者のみでした。

 

・適用期間の拡大:青色申告法人は、前年度だけでなく2年前に納付した法人税も還付が受けられます。

 

・費用、損失範囲の拡大:以下のような費用や損失は災害損失欠損金に該当します。

✓ 感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品などの除却損

✓ 施設や備品などを消毒するために支出した費用

✓ 感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用

くわしくはこちらのリーフレットをご確認ください。👉財務省:欠損金の繰戻しによる還付の特例

固定資産税の軽減

では最後に、固定資産税の軽減措置について確認します。

固定資産税については、2つの軽減措置が実施されます。

 

固定資産税の減免

事業者が保有する建物・設備の固定資産税が、売上の減少幅に応じてゼロまたは1/2になります。

固定資産税の減免措置は、2021年度の固定資産税で実施されます。

なお、土地に対する固定資産税は対象ではありません。

※2020年度の固定資産税は、売上が前年同月比20%以上減少していれば、1年間納税が猶予されます。

※家賃を割り引いたり、支払いの延期に応じた場合に、事業収入が減少した事業者も対象となります。

 

固定資産税の特例(固定ゼロ)の拡充・延長

従来から中小企業・小規模事業者がおこなう新規投資した設備の固定資産税は、3年間免除されています。

この制度が、次のとおり拡充・延長されます。

・対象設備の拡充:機械装置・器具備品→事業用家屋と構築物が新たに追加

・適用期限の延長:2021年3月まで→2年間延長(2023年3月まで)

 

 

まとめ

国税・地方税、社会保険についての新型コロナ支援策を確認しました。

 

上記以外にも減免や徴収猶予の制度が設けられています。

・国民健康保険の減免、徴収猶予(各市区町村)

・国民年金の免除、納付猶予(年金事務所)

・後期高齢者医療制度の減免、徴収猶予(都道府県後期高齢者医療広域連合)

・介護保険の減免、徴収猶予(各市区町村)

・電気・ガス料金の支払猶予(各事業者)

くわしくは、各自治体や電気・ガス事業者のホームページなどでご確認ください。

 

法人税などの申告・納付期限の延長については、柔軟に対応してもらえるようです。

ぜひ活用してください。

一方、納税猶予については、少し条件が厳しいようです。

ご利用の際は、かならず管轄の行政庁に相談するようにしましょう。

 

建設業者が活用できる新型コロナ対策・支援策をご紹介しております。

積極的に活用していただき、この困難をともに乗り越えましょう。

👉建設業者のための新型コロナ対策(資金繰り編)

👉建設業者のための新型コロナ対策(雇用調整助成金編)

👉建設業者のための新型コロナ対策(持続化給付金編)

👉建設業者のための新型コロナ対策(会社の対応編)

 

このほか建設業許可についてもくわしく解説しています。

ぜひ、合わせてお読みください。

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