建設業許可|取った後の手続き

決算変更届(決算報告)とは|建設業許可

決算変更届は、決算報告であるとか事業年度終了報告(岡山県)などと呼ばれることもあります。

建設業許可において、決算変更届は非常に重要な手続きです。

でも「決算変更届」というネーミングからイメージされるのはこんな感じでしょうか。

「決算の時になんか変わったことがありゃあ、届出せえいうことじゃろう」

ちょっとちがいます。

岡山県では「事業年度終了報告」と呼びます。

この呼び方のほうが、決算変更届の本来の意味に近いですね。

 

建設業許可を受けると、大きな金額の工事が請け負える反面、義務を負うことになります。

その義務の1つが決算変更届です。

決算変更届は、毎年提出することが義務付けられています。

 

では、どんな内容の届出なのか?

どこがそんなに重要な手続きなのか?

確認していきましょう。

 

いろいろな建設業許可の知識を解説しています。

ぜひ、合わせてご覧ください。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉建設業許可の29業種をわかりやすく解説

👉軽微な工事とは(許可が不要な工事)|建設業許可

👉建設業法の処分・罰則を理解する完全ガイド

 

決算変更届とは

建設業者が行う決算報告

決算とはなんでしょう。

税理士さんに頼んでやってもらうものですよね。

決算ができたら税金を払う、こんな流れだと思います。

 

決算とは、企業が通常1年間事業を行った結果、儲かったのか損したのか。

その結果、プラスの財産とマイナスの財産はどうなったのか。

これを知るための手続きのことをいいます。

決算が終わると、決算書(財務諸表)が作られます。

この決算書にもとづいて、所得税や法人税などの税金が計算されます。

そして納税するということになります。

要するに、税理士さんが行う決算は、税金を計算するための決算なのです。

決算書を見ると、その企業の規模や稼ぐ力、倒産の可能性などいろいろとわかります。

建設業者の倒産は、社会に大きな影響を与えてしまいます。

工事金額が大きく(前受金を受領)、発注者、下請業者、資材の納入業者など関係者も多岐にわたります。

そのため建設業法は、建設業者に毎年の決算と工事内容を報告させ、公開することにしているのです。

決算変更届は、建設業者が行う決算報告です。

税理士さんに頼む税務申告のための決算を利用しますが、まったく別ものです。

 

決算終了後4か月以内が提出期間

決算変更届は、決算日から4か月以内に提出しなければなりません。

 

会社の場合、通常決算日から2か月以内に定時総会を経て、決算が確定します。

個人の場合は3月15日の確定申告期限に合わせ、やはり2か月前後で決算が決まります。

そこから2か月ほどで、決算変更届を作成することになります。

できるだけ早めに準備を始めましょう。

 

申告期限の延長を選択した場合、決算確定まで3か月かかることになります。

さらにスケジュールがタイトになりますのでご注意ください。

 

決算変更届は誰でも閲覧できる

決算変更届は、一部を除き原則公開されています。

だれでも閲覧できるようになっているのです。

 

所轄の申請先窓口に閲覧申請書と身分証明書を持参すれば、自由に閲覧が可能です。

ただし、コピーや撮影、スキャナーの使用は禁止されています。

一方メモを取ることは可能です。

(岡山県の場合)

岡山県庁6階土木部管理課建設業班で9時~12時、13時~16時30分の間見ることができます。

一度に見られるのは10件までです。

建設業者の許可番号、商号、所在地等は、「岡山県の建設業許可業者一覧」で確認可能です。

閲覧によって企業の規模や業績、工事実績、技術者の情報が確認できます。

 

決算変更届はなぜ重要なのか

ではここからは、問題の核心について確認していきます。

なぜ決算変更届は重要なのでしょうか。

大きく4つのデメリットが考えられます。

・許可更新・業種追加・般特新規申請ができなくなる

・入札に参加できなくなる

・取引先や金融機関からの信用を失う

・経管の経営経験や専技の実務経験として工事実績が使用できない

いずれもとても影響が大きいデメリットです。

では、1つずつ確認しましょう。

 

決算変更届を提出しないとどうなる

「面倒くせえし、出さんでも役所からなんも言われんから大丈夫じゃろ」

こんな危険な考えを持った方はいないと思いますが、もし実践すると様々なペナルティが待っています。

 

許可の更新ができない

決算変更届が1期分でも提出されていなければ、許可の更新を受けることができません。

最悪の場合、許可を失ってしまいます。

許可の更新は5年ごとに行います。

だからと言って、更新の直前に5年分の決算変更届をまとめて提出する、などということは相当危険です。

更新には期限があります。

期限が迫っているなかで時間との戦いになり、下手をすると期限に間に合わない可能性が高いでしょう。

また、業種追加や般特新規申請も受けることができなくなります。

※業種追加・・・同じ区分(特定・一般)で別の業種の許可を受ける場合

※般特新規・・・一般のみの許可業者が、特定の許可を受ける場合またはその逆の場合

くわしい内容はこちらをご覧ください。

👉業種追加と許可の一本化|建設業許可

 

罰則や処分を受けることがある

決算変更届を期限までに提出しない場合、監督処分や罰則を受けることがあります。

決算変更届を期限内に提出しない場合、役所から指導を受けることがあります。

また、役所に期限後提出の履歴が残ることとなります。

違反行為が積み重なると、監督処分を受け、最終的には取消処分です。

罰則としては、最高6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金又はその併科が科されることがあります。

実際に罰則を受ける可能性は低いと思いますが、届出をしないだけで懲役があるのです。

そのぐらい重要な届出であることをご理解ください。

罰則や処分について、こちらで解説しています。

👉建設業法の処分・罰則を理解する完全ガイド

 

入札に参加できなくなる

決算変更届を提出していないと、入札に参加できなくなります。

 

なぜかと言いますと、まず、経審を受けることができないのです。

経審(経営事項審査)は、決算変更届をもとに審査を受けることになっています。

ですから、決算変更届の提出がなければ、経審を受審できません。

その結果、経審の受審を前提としている入札参加資格申請も行うことができません。

よって、入札への参加は諦めなくてはならないのです。

 

取引先や金融機関からの信用を失う

決算変更届の提出書類は、そのほとんどが閲覧できます。

新たに取引を始める場合、相手先がこちらの閲覧資料を確認することは十分に考えられます。

また、金融機関の場合も、信用調査の一環として閲覧する場合もあります。

そのときに、そもそも決算変更届が提出されていなかったらどうなるでしょう。

あるいは提出はあるけど内容がずさんだったり、専技を頻繁に現場に配置してたりすると相手はどう考えるでしょう。

最悪の場合、取引や融資の見直しを検討されることになるかもしれません。

このデメリットは、営業活動に直結しますので影響が大きいと考えられます。

 

ただこれは裏を返せば、自社の実績をアピールする場にできるとも言えます。

新工法の採用や成長性(完工高の伸び)、技術力(工事の幅広さ、技術者の水準など)を示すことができます。

頑張っていれば閲覧資料にそれらが表れてくるのです。

必ず提出しなければならない書類ですから、ぜひ上手く活用していただきたいと思います。

 

自社の工事実績として利用できない

決算変更届の提出がない場合、自社の工事実績が利用できません。

経営業務の管理責任者に必要な経営業務に従事した経験の証明。

専任技術者の要件を実務経験でクリアする場合の実務経験。

これらの経験の証明には、決算変更届の提出が欠かせません。

決算変更届には工事経歴書という書類が含まれています。

この工事経歴書に、業種ごとの工事の実績が記載されます。

決算変更届を提出すれば、工事経歴書でこれらの工事実績を認めてもらえます。

しかし、決算変更届の提出がなければ工事の確認ができません。

ですから、実際自社で施工した工事なのに、自社の実績として認めてもらえないことになるのです。

こんなケースでは特に困ることとなります。

経管や専技が急な退職で不在となる場合です。

決算変更届の提出さえしておけば、工事実績を持った技術者がいて、経管や専技の変更だけで済みます。

ところが、決算変更届の提出がないと工事の実績が認められず、許可を失う可能性さえ出てくるのです。

 

経管と専技の要件や確認資料については、こちらをご覧ください。

👉経営業務の管理責任者要件|建設業許可で最大のヤマ

👉経営業務の管理責任者に必要な確認資料|建設業許可

👉専任技術者の要件|建設業許可のもう一つのヤマ

👉専任技術者に必要な確認資料|建設業許可の要件

👉実務経験で専任技術者になる|建設業許可の要件

 

まとめ

決算変更届には、”届”という文字がつくので重々しさが足りないのかもしれません。

しかし、建設業許可を語るうえで、極めて重要な書類の1つだと言えます。

よくご理解いただけたかと思います。

 

決算変更届を提出しないことのデメリットは、思いのほかどれも重たいものでした。

・許可の更新などの手続きができなくなる

・入札に参加できなくなる

・取引先や金融機関からの信用を失う

・自社の工事実績として利用できない

中には、営業にダイレクトに影響するものも含まれます。

必ず毎年、決算変更届を提出するようにしましょう。

 

なお、”工事経歴書”という書類は、その中でも特に重要な書類です。

その作成には、細かいところまでこだわることをおすすめします。

 

ほかにも、建設業許可について解説しております。

ぜひご一読ください。

👉兵庫県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉一般建設業と特定建設業はどう違うのか|建設業許可

👉欠格要件の完全ガイド|建設業の許可・取消では要注意

👉附帯工事とは(許可が不要な工事)|建設業許可