建設業許可|取った後の手続き

工事経歴書の書き方(決算変更届)|建設業許可

決算変更届(決算報告・事業年度終了報告)は、建設業許可を維持していくためにとても重要な手続きです。

とくに、許可の更新や業種追加などの許可の手続きには欠かせません。

決算変更届が提出されていないと、許可の更新が受けられないのです。

また、経審が受けられないため、入札にも参加できなくなります。

 

決算変更届とは、許可業者が毎年の決算と工事の内容を報告するもので、原則公開されます。

建設業者には決算変更届の提出が義務づけられています。

決算変更届をこちらで解説しています。

👉決算変更届(決算報告)とは|建設業許可

 

この決算変更届の中に、”工事経歴書”という書類があります。

決算変更届の中で肝となる書類です。

しかし、記載事項がとても多く、細かいルールがたくさんあります。

正直やっかいな書類です。

やっかいな工事経歴書の書き方のポイントをわかりやすくお伝えします。

 

建設業許可の要件も解説していますので合わせてお読みください。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉経営業務の管理責任者要件|建設業許可で最大のヤマ

👉専任技術者の要件|建設業許可のもう一つのヤマ

👉欠格要件の完全ガイド|建設業の許可・取消では要注意

 

工事経歴書とは

工事経歴書とは、1年間に行った工事のくわしい内容を報告する書類です。

こちらが工事経歴書のフォーマットです。

工事経歴書は、決算変更届にだけ添付する書類ではありません。

新規申請、業種追加、般特新規などの申請手続きにも提出が求められます。

それぞれ書き方が微妙に違います。

たとえば、業種追加や般特新規では、対象の業種のみ工事経歴書を作成します。

今回は、決算変更届に的をしぼって解説します。

 

決算変更届の工事経歴書

工事経歴書を作成する際、つぎの5つのポイントに注意しましょう。

・許可を受けようとする業種ごとにページを分けて記載する

・許可を受けていない工事は、その他工事としてページを分けて記載する

・工事実績がない業種も提出は省略できず、「実績なし」と記載して作成する

・”注文者”と”工事名”欄に記載する個人名は「個人1」「個人1邸新築工事」などと記載する

※個人名が特定されないように十分注意します

・経営事項審査を受けるか受けないかで、記載方法が変わる

 

工事経歴書の書き方

ⅰ)すべての工事実績を記載するのか?

工事実績のすべてを記載する必要はありません。

なお、記載する工事の数は、経営事項審査(経審)を受けるか受けないかで変わります。

また、申請先によっても記載方法が違ってきます。

必ず申請先の手引などを確認して、指示通りに記載するようにしましょう。

 

(経審を受けない場合)

・請負代金の額は”税込み”と”税抜き”のどちらでもよい。

ただし、”税込み”か”税抜き”のどちらかに統一します。

・主な完成工事について、請負代金の額の大きい順に記載します。

それに続けて、未成工事について、請負代金の額の大きい順に記載します。

なお、申請先によって記載方法が変わりますのでご確認ください。

※東京都では、完成工事について各業種10件程度の記載でOKです。

※岡山県では、完成工事は全体の完成工事高の7割を超えるまで記載します。

 

(経審を受ける場合)

・”請負代金の額”は税抜き金額で記載します。

・①元請工事を、元請のみの完工高の7割を超えるまで、請負代金の大きい順に記載します。

②残りの元請工事と下請工事を、完工高の7割を超えるまで、請負代金の大きい順に記載します。

①、②にかかわらず、500万円未満の軽微な工事は、10件記載します。

こちらの工事経歴書の記載フローがわかりやすいと思います。

工事経歴書の記載例もはっておきます。

 

ⅱ)「建設工事の種類」欄

「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」の許可業種の分類に従って正確に区分し、業種ごとに作成します。

こちらを参照ください。

国土交通省:「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」

この作業を「業種の振り分け」といいます。

間違った振り分けをしていると、いろいろな場面で困ることになります。

1つの工事の中で、複数業種の工事がある場合、主たる業種の工事に振り分けます。

正しく振り分けができていないと、実務経験の証明が難しくなることがあります。

また、業種の追加ができなくなることもあります。

業種の振り分けは慎重に行いましょう。

業種の振り分けについて、こちらでくわしく解説しています。

👉工事経歴書と業種の振り分け(決算変更届)|建設業許可

 

ⅲ)「税込:税抜」欄

経審を受けない場合・・・税込、税抜どちらで表示してもいいですが、どちらかに統一しましょう。

経審を受ける場合・・・税抜で統一してください。

 

ⅳ)「工事名」欄

契約書や注文書に記載された工事名をそのまま記載します。

ただし、契約書などの工事名が正しく記載されていないときは、( )書で補記するようにします。

※( )書の内容を証明するため、書類の提示を求められることがあります。

 

ⅴ)「配置技術者」欄

技術者の氏名を記入し、主任技術者または監理技術者の区分にチェックを入れます。

※主任技術者・・・許可業者は、元請・下請の別、請負金額にかかわらず、すべての工事で現場に配置する義務があります。

※監理技術者・・・元請として税込4,500万円以上(建築一式は6,000万円以上)の下請工事を締結した場合、現場に専任で配置します。

工事の種類によっては、配置技術者の専任が求められるものもあります。

専任が必要な場合、配置技術者は工事期間のあいだ、現場を離れることができません。

その工事期間の間、当然ですが、他の現場とかけ持ちして配置することができなくなります。

特に専任を必要とする工事については、厳しくチェックされます。

・工事経歴書で、専任の技術者がかけ持ちの状態になっている。

・専任技術者を現場の専任の技術者にしている。

このような状態だと違反となってしまいます。

記載は慎重に行ってください。

工事経歴書と配置技術者について、こちらで解説しています。

👉工事経歴書と配置技術者(決算変更届)|建設業許可

 

 

ⅵ)「請負代金の額」欄

・JVとしての工事は、出資の割合や分担した工事額を記載します。

・工事進行基準を採用の場合、二段書きで契約金額を上段に、当期の出来高を下段に記載します。

・「うち、PC、法面処理、鋼橋上部」欄は、下の表に該当する工事があるときに記載します。

土木一式工事 プレストレストコンクリート構造物工事 PC
どび・土工・コンクリート工事 法面処理工事 法面処理
鋼構造物工事 鋼橋上部工事 鋼橋上部

 

ⅶ)「工期」欄

契約上の工期ではなく、実際の着工年月と引き渡した年月を記載します。

 

ⅷ)その他

・「小計」欄・・・1業種が1ページに収まる場合は、記載しません。

1業種が複数ページに渡るとき、ページごとの合計を記載します。

・「合計」欄・・・業種ごとの最後のページだけに、業種ごとの合計を記載します。

※全業種の合計を記載するのではありません。

 

その他の注意点

工事経歴書の「請負代金の額」の合計欄を足し算した金額は「完成工事高」を表します。

この数字は、決算変更届において他の書類にも登場します。

この「完成工事高」は一致しなくてはいけません。

 

具体的には3つの書類の金額が一致しなければなりません。

①工事経歴書(様式第2号)の合計欄の数字の全ページの合計金額

②財務諸表 損益計算書(様式第16号)の”完成工事高”と一致すること

③直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)の合計欄の数字が一致すること

岡山県:建設業許可の手引より引用

書類の作成が完了したら、必ずこの3つの書類を確認するようにしましょう。

 

まとめ

決算変更届の中でも特に重要な書類である工事経歴書の書き方を解説しました。

何気なく書いてしまうと、後々困ることが多いのが工事経歴書です。

特に注意したいのはつぎの3つです。

・業種の振り分けは正確に行うこと

・その他工事の記載をおろそかにしないこと

・主任技術者や監理技術者の配置にも気を配ること

 

また、契約書や注文書に記載する工事名には注意するようにしましょう。

たとえば「○○アパート工事」だけだと、どの業種の工事かよくわかりません。

「○○アパート外壁塗装工事」などのように、具体的に分かりやすく記載することです。

工事経歴書の工事名には、契約書の内容をそのまま記載するためです。

 

また、建設業許可に関する書類は、記載の方法がきっちり決められています。

指示に従って、間違いのない記載を心がけましょう。

ぜひ、ポイントを押さえた工事経歴書を作成してください。

不安がある方は、行政書士に相談されることをおすすめいたします。

 

他にも建設業許可について解説しています。

ぜひ合わせてお読みください。

👉兵庫県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

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👉軽微な工事とは(許可が不要な工事)|建設業許可

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