建設業法の知識

主任技術者・監理技術者の資格要件とは|建設業法

※2020年(令和2年)10月に施行が予定される建設業法の改正内容も解説しています。

 

今回は、主任技術者と監理技術者になるための資格・要件をわかりやすく解説します。

どちらも工事現場に配置される技術者です。

一方、営業所における技術者が、専任技術者と呼ばれるものです。

どちらも許可業者として建設業の営業を続けるうえで、欠かすことができません。

 

そして、両者の資格要件はまったく同じものとなっています。

主任技術者の資格要件をクリアすると、一般建設業の専任技術者になることができます。

また、監理技術者なれる人は、特定建設業の専任技術者にもなれます。

 

一人でも多くの方に、この技術者の資格要件をクリアしていただきたいと思います。

そのために、まずは資格要件そのものをしっかりご理解ください。

資格要件をクリアするために、複数のパターンが用意されています。

では、主任技術者と監理技術者の資格要件をくわしく確認してみましょう。

 

建設業許可をいろいろ解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

👉岡山県で建設業許可を取る人が読む開業完全ガイド

👉経営業務の管理責任者の要件|建設業許可で最大のヤマ

👉専任技術者の要件|建設業許可のもう一つのヤマ

👉建設業許可の29業種をわかりやすく解説

 

工事現場に配置する技術者

許可を受けた業者が工事を施工するときには、「主任技術者」をすべての現場に配置しなければなりません。

主任技術者は、現場において技術面の管理や、作業者の指導監督を行います。

 

また、元請工事で、工事1件あたりの下請業者への発注金額が4,000万円(建築一式は6、000万円)以上となる場合は、主任技術者でなく「配置技術者」を配置しなければなりません。

 

こちらで主任技術者と監理技術者についてくわしく解説しています。

👉主任技術者と監理技術者の違い|建設業法

 

主任技術者や監理技術者になるためには、資格や経験が必要となります。

どんな資格や経験を持っていないといけないのか。

まずは主任技術者から確認しましょう。

 

主任技術者の資格要件

主任技術者の資格要件は、一般建設業における営業所の専任技術者と同じです。

大きく分けると、つぎの4つになります。

ⅰ)1級または2級の国家資格者

ⅱ)指定学科の卒業+実務経験

ⅱ)実務経験10年以上

ⅳ)大臣の特別認定者(海外での学歴や実務経験)

では、それぞれを確認していきましょう。

ただし、ⅳ)大臣特認については、レアケースですので省略します。

 

1級または2級の国家資格者

主任技術者の資格要件をクリアするための最良の方法は、国家資格者になることです。

特に1級の資格者は、実務経験も不要ですし、監理技術者になることもできます。

では、一覧表で確認します。

北陸地方整備局:「建設業者のための建設業法」より引用

表中で◎は監理技術者、〇は主任技術者になることができる国家資格等です。

 

いちばんの狙い目は、①の「施工管理技士」の資格です。

試験合格だけで、配置される技術者となることができます。

特に建築系の「1級建築施工管理技士」か「2級建築施工管理技士(仕上げ)」がおすすめです。

カバーできる業種の数がダントツです。

合格率は、1級が学科・実地とも40%前後、2級が学科45%前後、実地は30%前後です。

※令和3年度から施工管理技士の受験制度が改正されます。

この記事のなかで解説しています。(下にスクロールしてください)

 

次におすすめするのが、②のいわゆる「技能士」の資格です。

中央職業能力開発協会が試験を実施します。

1級以上であれば、試験合格だけで主任技術者となることができます。

一方、2級の場合、合格後3年以上の実務経験が必要となります。

 

ほかには「電気工事士」も人気の資格です。

1級電気工事士は、資格だけで主任技術者になることができます。

ただし、2級電気工事士の場合、3年以上の実務経験が必要となります。

 

国家資格等の問合せ先はこちらをご覧ください。

 

【※法改正】「監理技術者等の専任義務の緩和等」と「技術検定制度の見直し」

建設業法の改正により、技術者制度が変わります。

①監理技術者の専任義務の緩和

②主任技術者の専任義務の緩和と一部配置不要化

③技術検定制度の見直し

 

※①②は2020年10月から、③は2021年4月から施行されることが決まっています。

 

・技術者の専任が必要な工事について、主任(監理)技術者の2現場までの兼務が認められます。

これには条件があって、各現場に創設された「技士補」の配置が必要です。

・下請業者が重層構造となる場合、合意により1次下請のみ指導監督的実務経験を持つ主任技術者を配置できるようになります。

・施工管理技士の制度の見直しが行われます。

 

施工管理技士の検定制度の見直し

現在、施工管理技士の制度は、1級、2級とも学科試験と実地試験の両方の合格がなければ、技士となれません。

これが今回の改正で、まず第一次検定の合格により「技士補」の称号が与えられることになります。

そして、その後の第二次検定の合格により「技士」の称号が付与されることになりました。

また、これまで2級の合格後5年の実務経験がないと1級の受験ができませんでした。

これが、2級合格の翌年に1級が受験できることとなります。

さらに、2級の技術検定が年2回実施されることになります。

国土交通省:「新・担い手三法について」より引用

 

指定学科の卒業+実務経験

卒業後に必要な実務経験年数は、卒業した学校によって変わります。

高校 全日制、定時制、通信制、専攻科、別科 卒業+実務経験が5年以上
中等教育学校 H10年に創設された中高一貫教育の学校
大学・短大 学部、専攻科、別科 卒業+実務経験が3年以上
高等専門学校 学科、専攻科
専修学校 専門課程、学科 卒業+実務経験5年以上(専門士・高度専門士は3年)

 

指定学科はこちらをご覧ください。

東京都:建設業許可申請の手引より引用

※これらの指定学科は、あくまでも一般的なものだけが掲げられています。

くわしくは申請先の窓口において、「履修科目証明書」などを持参のうえ確認をお願いします。

 

実務経験

では、実務経験について確認します。

実務経験のみで資格要件をクリアするには、1つの業種のみでの経験が10年以上必要となります。

実務経験のみの場合、2業種の要件をクリアするには通算20年以上の実務経験を必要とします。

その他、2級の国家資格等の一部や指定学科の卒業についても実務経験が必要となってきます。

 

実務経験とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいうとされています。

具体的には、次のような経験をいいます。

ⅰ)現場監督などとして、建設工事の施工を指揮・監督した経験

ⅱ)建設機械の操作などで工事の施工を行った経験

ⅲ)土工やその見習い、建機のオペレーションの見習い中の経験も含む

ⅳ)工事の注文者側で設計をした経験

実務経験には、単なる雑務や事務系の仕事に関する経験は含みません。

 

なお、実務経験が認められるためには、つぎの2つを証明する書類が必要となります。

また、実務経験を積んだ企業の経営者の証明印も求められます。

ⅰ)実務経験の内容(業種)が確認できるもの

ⅱ)実務経験期間の常勤を確認できるもの

※他社での経験の場合、書類集めができなかったりハンコがもらえなかったり苦労することがあります。

できるだけ良好な関係を続けることだ大事になります。

実務経験を証明するために必要な書類をこちらで解説しています。

👉専任技術者に必要な確認資料|建設業許可の要件

 

監理技術者の資格要件

では次に監理技術者の資格要件を確認します。

監理技術者の資格要件は、特定建設業における営業所の専任技術者と同じです。

監理技術者は、下請負人を適切に指導監督するという総合的な役割を担うため、主任技術者にくらべて、より厳しい資格や経験が求められます。

大きく分けると、次の3つになります。

ⅰ)1級の国家資格者

ⅱ)2年以上の指導監督的実務経験

ⅲ)大臣の特別の認定(海外での学歴や実務経験)

 

ただし、次の7業種(指定建設業)については、総合的な施工技術が必要であるため次の者しかなれません。

ア 1級の国家資格者

イ 技術士の資格者

ウ 国土交通大臣が認定した者

※指定建設業:土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の各工事業

 

1級の国家資格者

国家資格者のうち、監理技術者となれるのは次の資格保有者のみです。

・1級建設機械施工技士

・1級土木施工管理技士

・1級建築施工管理技士

・1級電気工事施工管理技士

・1級管工事施工管理技士

・1級電気通信工事施工管理技士

・1級造園施工管理技士

・1級建築士

・技術士資格者(くわしくはこちらをご覧ください。

👉公益社団法人日本技術士会ホームページ

 

2年以上の指導監督的実務経験

最後に2年以上の指導監督的実務経験について確認します。

先ほどの7つの指定建設業を除く、22業種の建設業について監理技術者となることができます。

次の2つを満たす者であることが必要です。

ⅰ)主任技術者の資格要件をクリアしている

ⅱ)元請として4,500万円※以上の工事を2年以上指導監督した実務経験を持っている

指導監督した実務経験とは、どんな経験でしょうか。

これは、現場監督や現場主任のような立場で、元請の請負業者として工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。

※4,500万円の基準は、S59年9月30日以前の工事は1,500万円、S59年10月1日からH6年12月27日までは3,000万円、H6年12月28日以降は4,500万円となります。

 

この指導監督的実務経験についても実務経験の場合と同様の証明書類が必要となります。

 

まとめ

本文でも触れましたが、施工管理技士の検定制度が2021年4月(令和3年度)から見直されることになっています

くわしくは次のサイトをご確認ください。

一般財団法人建設業振興基金(建築/電気工事)

一般財団法人全国建設研修センター(土木/管工事/電気通信工事/造園)

一般社団法人日本建設機械施工協会(建設機械施工技士)

 

改正によって、施工管理技士の資格は少しハードルが下がってくるものと思われます。

また、2級の技術検定は年2回実施されることにもなります。

ぜひ、積極的にチャレンジしていただきたいと思います。

 

建設業界では、特に若年者の技術者不足が深刻になってきています。

国土交通省も対策の必要性を感じての今回の改正になっております。

法改正を上手く活用しましょう。

 

ほかにも建設業許可について解説しています。

ぜひ、あわせてお読みください。

👉一般建設業と特定建設業はどう違うのか|建設業許可

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