建設業許可|取るための知識

知事許可と大臣許可はどう違うのか|建設業許可

知事許可と大臣許可はどう違うのか?

建設業界でメシを食っている人ならば、だいたいはお分かりだと思います。

営業所をどこに置くかによって違ってきますよね。

みなさんご存じかと思います。

 

ですが、より明確にはっきり理解すべき理由があります。

営業所に関しては意外な落とし穴があるのです。

知らず知らずのうちに違法な状態になることがあります。

下手をすると許可取消になりますのでご注意ください。

ですから、正しい知識を身につけてしっかり防御してください。

逆に知っていれば大した問題ではありません。

では解説いたします。

 

知事許可と大臣許可の違い

このサイトでは知事許可・大臣許可を許可の区分と呼びます。

許可の分類にはもう一つ、許可の種類があります。

一般建設業と特定建設業です。

こちらでくわしく解説しております。

ぜひ合わせてお読みください。

一般建設業と特定建設業はどう違うのか|建設業許可

 

知事許可と大臣許可には、次のような違いがあります。

・知事許可・・・1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業しようとする事業者が取得する

・大臣許可・・・2以上の都道府県の区域に営業所を設けて営業しようとする事業者が取得する

たとえば、板金工事の営業所を岡山と広島に置く場合には、大臣許可が必要です。

逆に、すべての営業所を岡山県内に置くのであれば、いくつあっても知事許可で大丈夫です。

ただし、板金工事は知事許可、建築一式工事は大臣許可、という取り方はできません。

知事許可か、大臣許可のどちらかだけです。

一方、一般と特定は業種ごとに選択が可能です。

 

大臣許可の申請先は、主たる営業所の所在場所を管轄する国交省の地方機関です。

北海道開発局、沖縄総合事務局、各地方整備局です。

主たる事務所が岡山の場合には、中国地方整備局(広島)になります。

なお、2020年(令和2年)3月31日までは都道府県を経由して提出しますのでご注意ください。

申請先の一覧はこちらをご確認ください。

国土交通省:許可行政庁一覧表

 

営業所の要件

営業所とは

建設業法上の営業所とは、本店又は支店もしくは常時工事の請負契約を締結する事務所をいいます。

常時請負契約を締結する事務所とは、次の事務所を指します。

請負契約の見積り、入札、協議など請負契約の締結を実際に行う事務所です。

つまり営業所とは、常時請負契約を行う事務所のことです。

言いかえれば、契約書にハンコをつく場所のことです。

営業所とは・・・常時請負契約を行う事務所のこと

 

本店や支店の場合、必ず営業所になるわけではありません。

本店や支店で、常時請負契約を行う場合には営業所になります。

また、契約は行わなくても、他の営業所の契約の指導監督をする場合は営業所になることがあります。

 

自宅を登記上の本店にし、業務は事務所で行うケースは多いと思います。

この場合、本店では契約せず、事務所だけで契約を行う場合、本店は営業所に該当しません。

事務所だけが営業所になります。

※臨時的な工事事務所や作業所、ハンバなどは営業所に該当しません。

 

営業所の要件

営業所の要件にはいろいろありますが、大きく6つだとご理解ください。

①契約締結に関する権限を持っている

②事務所など建設業の営業を行うべき場所がある

③看板、電話、机等を備えている

④営業所の代表者である経管や令3条の使用人が常勤している

⑤営業所の専任技術者が常勤している

⑥営業用事務所としての使用権原を持っている

これらの要件を満たした上で届け出がされた事務所が営業所として認められます。

ここでのポイントは2つです。

④営業所の代表者である経管や令3条の使用人が常勤

⑤専任技術者が常勤

この2つについてはあとで解説いたします。

 

営業所の注意点

建設業法上の営業所にまつわる注意点を解説します。

 

・営業所が1つだけであっても、全国どこでも建設工事を施工することができる。

 

 

これは知事許可でも大臣許可でも同じです。

技術者の配置義務などがクリアできれば全国どこでも工事ができます。

ただし、工事の契約は必ず営業所で行ってください。

 

・営業所の届出をしていない事務所や店舗では、許可業種について500万円以下の軽微な工事であっても契約できない。

 

例えば、本社だけを電気工事の営業所として届け出した場合です。

この場合、他の事務所では、500万円未満の軽微な工事であっても、一切電気工事の受注はできなくなります。

受注できるのは本社だけです。

この点はとても重要ですので、ぜひ覚えておいてください。

ただし、許可業種以外の工事であれば、500万円未満の軽微な工事を他の事務所でも受注することができます。

合わせて覚えておきましょう。

 

 

主たる営業所と従たる営業所

知事許可でも大臣許可でも複数の営業所を持つときは、主たる事務所を決める必要があります。

同一県内だけで複数の営業所を持つ場合にも関係しますので注意してください。

 

複数の営業所を持つ場合は、特に次の点に気をつけてください。

実際の工事まで考えた場合、専技を含めある程度の人数の技術者が必要となります。

専技のほかに主任技術者や監理技術者が必要です。

技術者が不足した状態ですと、業法違反になる可能性がきわめて高くなってしまいます。

十分に気を付けてください。

技術者に余裕ができて初めて、営業所の増設を考えるようにして下さい。

 

主たる営業所

主たる営業所とは、建設業を営むすべての営業所を統括する営業所です。

建設業許可を取得する際に、必ず1か所設置されていることが必要です。

つぎの4つを満たす必要があります。

①必ず1か所設置すること

②実際に建設業を営む営業所であること

③営業所に経営業務の管理責任者が常勤していること

④営業所に専任技術者が常勤していること

③と④が特に重要です。

上の営業所の要件でも触れましたが、特に主たる営業所ではこの2つが重要です。

主たる営業所には、経管(けいかん)の常勤が必ず求められます。

また、常勤の専技(せんぎ)を置くことも求められます。

そして、経管と専技の両者がともに持つ許可業種のみが受注できることになります。

大事なポイントです。

 

なお、経管と専技はこちらでくわしく解説しています。

経営業務の管理責任者要件|建設業許可で最大のヤマ

専任技術者の要件|建設業許可のもう一つのヤマ

 

従たる営業所

従たる営業所とは、主たる営業所以外の営業所のことをいいます。

必要に応じて設置又は廃止することができますが、営業所の届出が必要です。

つぎの3つを求められます。

①実際に建設業を営む営業所であること

②営業所の代表者として令3条の使用人の1名が常勤であること

③営業所に専任技術者が常勤していること

②と③が重要です。

令3条の使用人とは次の者をいいます。

支店長や支社長、営業所長など、その営業所を統括する代表者のことです。

これらの人が、事業主から営業所の代表者としての権限を与えられていることが必要です。

従たる営業所ごとに、令3条の使用人を置かなければなりません。

特別な資格はありませんので誰でもなれます。

ただし、届出が必要です。

なお、令3条の使用人として届出された期間は、経管の経験年数として認められます。

上手く活用してください。

従たる営業所ごとに、常勤の令3条の使用人が必要です。

また、従たる営業所ごとに常勤の専技を置く必要があります。

従たる営業所で受注できる業種は、経管とその営業所の専技が持つ業種のみとなります。

 

深刻な事態となるケースも

たとえば、岡山の本店で不動産屋を営む業者が、兵庫に建設業の支店を出す場合を考えます。

建設業法では兵庫の支店だけが営業所になります。

社長が専任の宅建士であり、経管です。

この場合、社長は本店にも支店にも常勤しなければならないことになります。

物理的に無理です。

ですが、その物理的に無理な申請をしてしまっているのです。

建設業法にも宅建業法にも違反することになります。

 

あるいはこんな場合です。

岡山の本店でとび・土工工事を営む業者が、香川での仕事が増え香川に作業場を置きます。

単なる作業場だったのが、500万円未満の軽微な工事を少しずづ受注するようになりました。

営業所の届出をしているのは、岡山の本店だけです。

この場合、工事を受注できるのは岡山の本店だけなのです。

香川でも受注するのなら、香川の作業場も営業所として届出をした上で、大臣許可が必要になります。

であるのに知事許可を受けているのであれば、虚偽申請となります。

悪質であると判断されれば、許可取消で5年間は再取得できなくなります。

 

営業所については、このように知らず知らずのうちに違反となることがあります。

受注が順調で規模の拡大をとお考えであれば、まずは役所や行政書士に相談することをおすすめします。

 

まとめ

建設業法上の営業所を知っておくべき理由をお分かりいただけたかと思います。

下手をすると、許可取消になることもあります。

営業所や事務所、作業場など拠点を増やす際には十分ご注意ください。

 

しかし、営業所にまつわる業法違反は、ポイントを押さえることで対処が可能です。

・建設業法上の営業所以外では、許可業種の工事を受注しない(契約書にハンコを押さない)。

・主たる営業所には、必ず経管は常勤とする。

・営業所ごとに、専技を常勤させる。

・営業所を増やす前に、技術者の数が十分かどうかよく検討する。

・営業所を増やすときは、できるだけ役所や行政書士に相談する。

 

営業所の増設が考えられるほどのステージにたどり着くというのは、並大抵ではないと考えます。

その努力が知らなかったばかりに報われない、という事態だけは避けなければなりません。

まずは慎重に。そして大胆に。